



4月4日 京都公演「高瀬舟」にいらして下さった皆様、本当に本当にありがとうございました。
この「高瀬舟」という作品は、森鷗外によって書き記された作品ですが、この日、集まって下さったおひとりおひとりの皆様がこの場で共同で創り上げたひとつのことばと音楽の新しい作品になったのでした。
一艘の小舟に乗って春の夜の川の流れに流されてゆく、ふたりの男のそれぞれの独白と対話からなる作品に、聴きに来て下さった皆さんおひとりおひとりがおのれのこころと靈(ひ)を与えて下さったのです。
ひとつの空間の中に人は集います。そして、耳を澄まして「聴く」という靈(ひ)の振る舞いを通して、ひとりひとりの人が、ものものしく、しかし、ひめやかに語りだす絵姿に富んだ物語をおのがこころの内に織り上げてゆく。そうして、その場に、いつしか共同でひとつの靈(ひ)の織物が仕立て上げられてゆくのです。この日も、この日にしか出会えない新しい「高瀬舟」という作品が生まれたのでした。
わたくし諏訪がこの織物の主なる経糸を紡いでゆく作業をさせていただいたのだとしましたら、クラリネット演奏の小西収さんは緯糸を幾重にも織り上げて下さったのでした。それは、深められた音楽的、かつ文学的感官から、蚕が糸を吐き出すかのような生理的作業であり、またその吐き出された糸を紡ぎ上げてゆくような心理的、精神的な作業ではなかったかと、今、この上ない感謝の念いと共に想います。
そうして、当日の舞台の上で、お客様のおひとりおひとりの方のこころがその作品をさらなる色合いをもって染め上げ、それはその日にしか生まれない靈の織物となるのでした。
この日に集って下さったすべての方々に、こころよりお礼を申し上げます。
また、次なる共同の作品作りに、どうぞ、新しくご参加いただければ、この上ない創造の喜びが深まりゆきます。
本当にありがとうございました。
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