
高瀬舟チラシ表.pdf
高瀬舟チラシ裏.pdf
この「高瀬舟」という作品、実は30年前から取り組んでいまして、何年かに一度は舞台で上演をして来たのです。
しかし、わたしはこの作品の真ん中の奥深いところにあるものを予感しながらも、それは予感どまりで、少しずつ、少しずつ、その真ん中にのところに近づきながらも、しかし、つまるところ、そこに手が届かないまま、この30年間、上演してきたのでした。
その真ん中の奥深いところとは、ある人に出会った時、その人に対して、次のように感じざるを得ないような、震撼せざるを得ないこころのリアリティーです。
「この人は、わたしとは明らかに違う次元で生きている・・・。わたしの日常では全く夢にも思ったことのないような、遥かに深い次元、高い次元で、この人は生きている・・・」。
殺人を犯してしまわざるを得なかった主人公がそのこころに湛えている「遥かな高い次元」に、脇役の男が驚嘆してしまう、そのような「出会い」がこの作品には描かれているのですが、その「高い次元」の凄さを頭では分かったつもりでいるのですが、胸の真ん中ではその真髄がどうしても、どうしても、分からないまま上演してきたのでした。
これまでは、この作品の後半に描かれている、主人公が犯してしまった殺人を描く場面のショッキングさだけが、やけに強調されてしまった嫌いが、どうしても拭えなかったのです。
それでも、なにゆえか、わたしはこの作品に引きつけらて仕方がありませんでした。
そうして上演を続けているうちに、だんだんとですが、まずは、脇役の人物像に湛えられている深みが少しずつですが描くことができるようになって来たようにも思います。
しかし、肝心要の主人公の持つ「人としての次元の違い」、つまり、「靈(ひ)の世から促がしを得て生きている人の底知れなさ」を全く描けないまま、30年が経ってしまったのでした。
そして、このたび、手前味噌な思い込みと受け取られても仕方がないかもしれないのですが、その主人公の持つ、人としての悲しみ、喜び、希望、さらには、逞しさ、人としての高潔さ、謙虚さ、清さという、その靈(ひ)のありように、ここに来て、ほんの少しだけ、ようやく、このわたしも触れることができ始めているのを感じています。
だからといって、ついに、この作品が腹の底から分かった、とは全く言えないと思います。
しかし、昨年秋の公演「宮沢賢治の世界」に引き続き、わたしはさらにこの「高瀬舟」という作品を靈(ひ)の世に捧げることを目指して、このたびの舞台を務めたいと希っています。
「ことばづくり(言語造形)」という藝術が持つ「意味」をできうる限り明瞭に意識しつつ、舞台上演をしてゆくのです。
30年前、師匠に言われたことを思い出します。
「下手でもいいから、歩け。歩き続けろ」。
生涯、分からなくても、生涯、できなくても、怖がらずに、そう、歩き続けるのです。
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