本日の名張の桔梗が丘「ゆいのいえ」での『名人伝』公演、無事終へることができました。
ことばの芸術「言語造形」を分かち合へる、このやうな時間と空間を人様と共にできること。
そのことが、わたしには何よりもありがたく、嬉しく、たいせつなことなのです。
なぜならば、言語造形といふことばの芸術が、この国に根を張ること、生まれいづること、花開き、実を稔らせることを念願してゐるからなのです。
そして、舞台にのぼるごとに、精神がしつかりとありあはせることの難しさを感じます。己れを大いなるものに捧げ切ることの難しさです。今日もさうでした。
しかし、何がどうあらうとも、かうして言語造形の舞台に立ち続けること、それがわたしの天職です。
稽古を重ねるたびごとに、舞台を重ねるたびごとに、わたし自身に(望むべくは、観客の皆さんにも)作品の深み、ことばの深み、芸術の深みが、見えてくるのです。
「ああ、この文章、この一文、このことばは、こんなふうに表現されたがつてゐたのか・・・!」といふ気づきの重なり。
ありがたくも、ご感想を頂いてゐます。ここにご紹介させていただきます。
●原作を先に読ませて頂いた上で、今回の公演に臨みました。物語が活きている、そんな実感を抱きました。喜怒哀楽、焦燥感、恐怖など、主人公のみならず、登場人物すべての感情が如実に現れていました。見えない存在が目前にいるような、そんな気さえしました。
時間を忘れ、空間を忘れ、ただ発せられる言葉の「圧」を十二分に味わうことができました。
(m.s.さん)
●すばらしかったです。まさに「言語造形」。情景がとても立体的に目に浮かんできました。一人一人の人物もくっきりみえました。そして、ひとつの道を極めていく、その終着点が、まさか、「忘れる」ことにあるとは!!とても深い宇宙の真理だと感じました。文学をもっと読みたい。そう改めて思います。
(t.c.さん)
●遅れてきました。ご迷惑をおかけしてすみません!でも、来てよかったです。諦めかけていたのですが、遅れてでも、来て本当によかった。語りが心に深く突き刺さり、情景が目前に広がり、主人公の紀昌(きしょう)が辿りついた境地が、本来私たちが辿りつくべきところなのだと感じ、心が熱くなりました。
(h.y.さん)
●作者の解説をしていただいたので、背景がとても分かりやすく、物語に入りやすかったです。そして語りの一言一言のことばの迫力に吸い込まれそうでした。また、腰から話すという意味がよく分かりました。エネルギーが一体になってゆく、間、空間の大切さも学びました。中島敦という作家に惹かれる諏訪さんの気持ちがよく分かります。
(n.m.さん)
本当に遠くから来て下さつた方がゐらっしゃいました。
本当に久しぶりに来て下さつた方がゐらっしゃいました。
来て下さつた皆様、会場を準備して下さつた皆さん、本当に、どうもありがたうございました。