[声の贈りもの]の記事一覧
- 2021/02/19 声の贈りものD 動画「すやすや おやすみ」
- 2021/02/10 声の贈りものC 動画「おおきなかぶ」
- 2021/02/03 声の贈りもの B 動画「よあけ」
- 2021/01/20 声の贈りもの A 『だいくとおにろく』
- 2021/01/14 声の贈りもの @ 『手ぶくろを買いに』
2021年02月19日
声の贈りものD 動画「すやすや おやすみ」
絵本の読み聞かせへのアドバイスシリーズ。今回で締めくくり、第三回目です。
今回のテーマは、ことばのひとつひとつを、音韻のひとつひとつを、丁寧に、大切に、発音する、といふことです。
動画で、ご説明、ならびに一部ですが、読み聞かせの実際をご覧いただけます。
どうぞ、ご覧ください。(ちなみに、この動画は、出版社「福音館書店」からの著作権法に関する許諾の条件を踏まえてゐます。)
【楽しんで読み聞かせをするポイント】
@まづは、息を吐きながら一文一文ゆつくりと
Aことばの身振りや、物語の絵姿を感じながら
B一音一音をていねいに
2021年02月10日
声の贈りものC 動画「おおきなかぶ」
絵本の読み聞かせへのアドバイスシリーズ。動画では、前回に引き続き、第二回目です。
今回は、ますます、ことばを話す際の本質的なところへ踏み込んでいきますね。
それは、ことばを話す際に、身振りがある、といふことです。
今回は、トルストイ再話、佐藤忠良画の「おおきなかぶ」です。
動画で、ご説明、ならびに一部ですが、読み聞かせの実際をご覧いただけます。
よろしければ、どうぞ、ご覧くださいね。(ちなみに、この動画は、出版社「福音館書店」からの著作権法に関する許諾の条件を踏まえてゐます。)
この「おおきなかぶ」といふお話における、ことばの使ひ方は、明らかに、黙読されるためのものではなく、ロシアの民が長い年月の中で、「語り継いできた」息遣ひ、リズム、強弱、集中と解放が脈打つてゐます。
そのことば遣ひには、人の生きた身振りが籠められ、日本語に翻訳したものにも十分に感じ取られるものです。
読み聞かせ、語り聴かせの内側に、お話に応じた内的な身振りを注ぎ込んでみて下さい。
この作品が、一層、活き活きとしてきますよ。
【楽しんで読み聞かせをするポイント】
@まづは、息を吐きながら一文一文ゆつくりと
Aことばの身振りや、物語の絵姿を感じながら
B一音一音をていねいに
※この動画は、出版社「福音館書店」からの著作権法に関する許諾の条件を踏まえてゐます。
言語造形(Sprachgestaltung)とは、ルドルフ・シュタイナーのアントロポゾフィーから生まれた、ことばの芸術です。ことばを話すことが、そもそも芸術行為なのだといふことを、シュタイナーは、人に想ひ起こさせようとしたのです。
わたしたち「ことばの家 諏訪」は、大阪の住吉にて、その言語造形を学ぶ場を設けてゐます。
「ことばの家 諏訪 言語造形のためのアトリエ」
https://kotobanoie.net/
「言語造形 ことばの家諏訪」チャンネル登録、
どうぞよろしくお願ひします!
2021年02月03日
声の贈りもの B 動画「よあけ」
絵本の読み聞かせ。
それは、ゆつたりとした息遣ひとことば遣ひを想ひ起こすことのできる、子どもたちとのかけがへのない時間をもたらしてくれます。
今回は、ユリ―・シュルヴィッツ絵・作の「よあけ」です。
言語造形からのアドバイスシリーズ第一回目として動画に撮つてみました!(コメント欄に動画を貼つてゐます。よろしければ、どうぞ、ご覧くださいね。ちなみに、この動画は、出版社「福音館書店」からの著作権法に関する許諾を得てゐます。)
この静かさに満ちた「よあけ」といふ絵本、一頁一頁ごとに、短い詩のやうなことばが記されてゐます。
深い息遣ひと共に、その間における静かさを味はひながら、ぜひ、ご自身でも、この絵本を手に取られて、お子様とご一緒に試してみて下さいね。
【楽しんで読み聞かせをするポイント】
@まづは、息を吐きながら一文一文ゆつくりと
Aことばの身振りや、物語の絵姿を感じながら
B一音一音をていねいに
2021年01月20日
声の贈りもの A 『だいくとおにろく』
自分の目で文字を追ふ黙読とは違ひ、誰かにお話を読んでもらふといふことは、本当に特別な体験です。
とりわけ子どもたちにとつて、お母さんやお父さん、先生などの声によつてお話が読まれ、語られることで、大人が、親が、一緒に物語の世界の中を歩いてくれてゐる、そんな幸福な一体感をもつことができるのです。
よく、子どもが同じお話を繰り返ししてほしい、同じ絵本を繰り返し読んでほしい、と親にねだるのは、繰り返しを愛する幼い子ども特有の意欲の働きであると共に、この「一体感」を何度でも味はひたいからなのです。
今日の絵本は、日本昔話から、松居直再話、赤羽末吉絵の『だいくとおにろく』です。
昔話や伝説では、ある領域ともうひとつの領域との間に、「川」が流れてゐることがよく出てきます。
お話を聴く子どもたちにとつて、その子、その子なりの領域から新しい領域への境を超えなければならない時が、遅かれ早かれやつてきます。
その時の、川を渡るかのやうな、橋を架けるかのやうな、恐れを乗り越える経験。
それは、このお話におけるやうに、「おに」の正体(本当の名前)を知る時、なのかもしれません。
そして、大人にとつては、この鬼は、精神の世の境にをられる「境の守」なのです。
この絵本を何度も何度も読み聞かせてあげること、それは、そんな境を超えようとしてゐる子どもへの、そして読むわたし自身への、密やかな応援なのです。
●こんな読み方をしてみては?
いちいちのことばや言ひ回しには、必ず、身振りといふものがあります。
必ずしも身振りをからだの動きとして表さなくても、その身振りを感じながら声に出してみることで、俄然、ことばが生命感を持つてきますよ〜!
このお話の最後の「おにろくっ!」とどなる場面では、必ずしも大きな声を出す必要はなく、強くはつきりと鬼に向かつて指し示すやうな身振りを感じてゐれば、ていねいに静かに声を出しても、相応しい響きにおのづとなります。
その指し示す身振りこそが、聴いてゐる子どもに、「こころを決める力」「意志の力」を感じさせるのです。
その力は、人生にとつて、とても大切な力です。
どうぞ、試してみてくださいね。
【楽しんで読み聞かせをするポイント】
@まづは、息を吐きながら一文一文ゆつくりと
Aことばの身振りや、物語の絵姿を感じながら
B一音一音をていねいに
アントロポゾフィーと言語造形「ことばの家」
https://www.youtube.com/user/suwachimaru/videos
2021年01月14日
声の贈りもの @ 『手ぶくろを買いに』
「シュタイナー幼児教育では、絵本の読み聞かせではなく、素話を子どもに聴かせます」と言はれるのをよく聞きますね。
そのことには、もつともな理由があり、子どもがお話を聴くとき、絵本の絵によつて、こころの内側に絵姿を自由に描く力を損なはないやうに、との配慮からです。
それは、もつともなのですが、やはり、親御さんにとつては、我が子に素話をするといふことも、ある意味、ハードルが高く感じられることでせう。
それならば、絵本といふものを通して、お子さんと親御さんが声のやりとりをする時間を一日の内、ほんの少しの時間にでも持つことができた方がいいのではないかと思ふのです。
もちろん、ことばの響きだけで、大人から子どもへとお話の贈り物ができれば、それはこの上なく素晴らしいことなのですが、そのことを承知した上で、絵本を通して親子のことばの時間を大切にしていくことを、言語造形をする者として提案したいのです。
お父さんやお母さんの息遣ひと声の響きこそが、子どもたちに取つて何よりの何よりの贈りものなのです。
「声の贈りもの」と題して、今日が第一回目。新見南吉作、黒井健絵の『手ぶくろを買いに』です。
冷たい雪にかじかんだ手を温めてあげたい。母狐は子狐に町まで手ぶくろを買ひに行かせます。しかし母狐は人間を恐れてゐます。かたや、子狐はいまだ無垢なまま世を信じて生きてゐます。心配と信頼。こころが微妙に交差する、冬の物語です。
●こんな読み方をしてみては?
月の光に照らされた白い雪と夜の闇。その明暗のコントラストが際立つ世界。
また雪の冷たさと、母と子の間に営まれる暖かさ。その寒暖のコントラスト。
そこからわたしたちは何を感じることができるでせうか。
絵の繊細なタッチを感じながら声に出してみませう。
そこから生まれる「こころの情」を子どもと分かち合ふことができたらいいですね。「寒いね、寒いね」「暖かいね、暖かいね」と言ひながら・・・。
【楽しんで読み聞かせをするポイント】
@まづは、息を吐きながら一文一文ゆつくりと
Aことばの身振りや、物語の絵姿を感じながら
B一音一音をていねいに