2018年02月16日

もの言はぬ古き友


旅にゆくときの楽しみのひとつは、出発前に持つてゆく本を選ぶことだ。
 
つひ、たくさん鞄の中に入れてしまふ。
 
持つべきは 古き友なり もの言はぬ 
ともなる旅路 時を忘れむ

 
諏訪耕志
 

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2018年02月06日

感情が擦り切れるやうな時間の中に


毎日を生きてゐると、楽しいことや喜ばしいことばかりではなく、悲しみや怒りに包まれ、苛まれることがある。
 
でも、さういふ、感情が擦り切れるやうな時間の中に、何かがあると思ふ。
 
遠いところからの呼びかけ。
 
何かを保て、といふ呼びかけ。
 
崩れるな、といふ呼びかけ。
 
人は、誰しも、戦つてゐるのではないだらうか。
 
さういふ、聞こえるか聞こえないかの呼びかけを聴きとらうとして。
 
 
おほうみに 小舟(をぶね)浮かべて 渡りたし
綱手悲しく ゆくへ知らずも

 
諏訪耕志


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2018年01月28日

地の靈(たま)


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旅カラ帰宅スル道スガラ・・・。
 
帰るみち われを迎へむ 地の靈(たま)は
夢かうつつか われを迎へむ

 
諏訪耕志






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2018年01月21日

夜ノ床ニテ


夜ノ床ニテ

小夜更けて あはれ拙し この身かな 
悪しき夢見に まほらみつめむ

吾が胸に 片ほほあてて まどろみし
寝息しづかに 三日月の夜


諏訪耕志


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2018年01月06日

和歌の学び 〜大歌聖としての明治天皇〜


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和歌(やまとうた)の学びは、まづ、先人の歌つた歌を一首一首深く味はひながら、できる限り数多く見て読んで声に出して歌ふことが肝心なことではないかと思つてゐる。
 
『萬葉集』はこの国で最古の詩歌集であり、最高の詩歌集であり、一昨年あたりから漸く、わたし自身はその『萬葉集』の魅力に腰を据えて触れ始めた。
 
さらに、本年平成三十年は明治維新より百五十年目といふまことに記念すべき年であるゆゑか、元日より明治天皇のお歌を集めた御集に触れ始め、その御歌心のみずみずしさ、清新さ、若年時から示される懐の深さ、剛毅さに、たちまち魅了され、驚嘆措く能はずといふ毎日を過ごしてゐる。
 
歌は、人のまごころを表す。
 
そもそも、政治のおほもとは、歌なり。法とは、そもそも、人のまごころからの生き方を高らかに歌ひ上げるものであつた。
 
よつて、明治天皇は、驚異的に御多忙を極める当時の御政治の只中にこそ、歌を歌はれ続け、歌道こそが、この日の本の国を根柢に於いて支へるものであり、決してそれが有閑時の戯芸でないことを、その御生涯をもつてお示しになられた一大歌聖であられた。
 
その歌は、教訓を民へと垂れるやうなものではなく、すべてがご自身のこころの奥底から溢れ出づる御述懐であるゆゑに、まことのことばの芸術がもたらす徳用(さきはひ)となつて、わたしたち民間人(草莽の民)のこころの糧となるものである。
 
下の歌は、明治天皇の御年十八歳から二十一歳(満十六歳から十九歳)の時の御製歌。
 
天地自然の循環の道に従ひ給ふこと、この国の古(いにしへ)からの政治の根本であり、かつ、おほらかで、雄大な御気風の趣きをはやくから示されてゐる。
 
 
 千代よろづ かはらぬはるの しるしとて
 海辺をつたふ 風ぞのどけき
 
 
 ふく風も のどかになりて 朝日かげ 
 神代ながらの 春をしるかな
 
 
 日にそひて けしきやはらぐ 春の風
 よもの草木に いよよふかせむ



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2018年01月02日

初春の神のやしろ


我ガ氏神様ノ生根神社、ソシテ大海神社ニ初詣ニ訪レテ。
 
初春の 神のやしろに つどひくる 民よ 我らよ
神代(かみよ)し念ほゆ

 
諏訪耕志
 
 
詩、歌、とりわけ、和歌(やまとうた)は、まごころだけが載る、不思議な文藝。日本の文學のおほもとである和歌を、今年はさらにもつと学んでいきたい。こころとことばの不即不離なありやうにもつと通じていきたい。さうして、先人の跡を尋ねていきたい。

文藝、文學とは、ことばの道。
 
それは、人のこころの道であり、磨けば磨くほどに、ことばとその人がひとつになりゆき、その人がますますその人になりゆく道である。
 
だから、文學史とは、その国の人のこころの歴史であり、また同時に、文學論(人とは、いかにして、人となりゆくか)でもある。

詩人とは、「人は、いかにして、人となりゆくか」を神に問ひ続ける人である。
 
そして、我が国の詩人たちは、土着のことば、先祖たちから手渡されたことば・やまとことばを通して、己れのこころの源を探り、己れのこころを先祖の方々と結ぶことで民族の血に繋がることを祈願し、未来の子孫たちにその精神を繋げることを乞ひ願つたのだ。
 
わたしは、言語造形を通して、我が国の詩人たちに連なつていきたい。

 
  

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2017年12月31日

年ノ瀬ヲ迎ヘテ・・・


年ノ瀬ヲ迎ヘテ・・・。 
 
ほとばしる 川の流れの 神の声
岸辺を洗ひ 我れここに立つ

 
 
 
青ク晴レ渡ル大空ノ下、聳エル富士山ヲ新幹線ノ車中カラ望ム。
 
いくたびも ゆきて過ぎしか その御前(みまへ)
天(そら)みつ神の こころはるけし

 
 
諏訪耕志

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2017年12月23日

天長節ヲオ祝ヒシテ


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天長節ヲオ祝ヒシテ
 
たたなづく 青垣山の あなたより
いやさかのぼる 光はるけく
 
我が内に 宿りし光 
いづこより 来たれるものか 吾(あ)は知りぬる


諏訪耕志

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2017年09月18日

前川佐美雄『植物祭』より


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昨夜の窓に叩きつける雨がすつかり上がつて、今日は美しい一日だつた。
 
そして、ひとつの仕事が終わり、大きなため息をひとつ〜。
 
一冊の歌集にまた救はれる。
 
 かなしみはつひに遠くにひとすぢの
     水をながしてうすれて行けり
 
 野の家にすこしはなれて佇(た)ちをれば
     風吹き来(きた)るあをき空より

 
          前川佐美雄『植物祭』より

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2017年09月05日

君待つと わが恋ひをれば 

 
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君待つと わが恋ひをれば 
わが屋戸の すだれ動かし 秋の風吹く  額田王

  
この萬葉の歌を声に出してみる。
 
さうすると、「君待つと わが恋ひをれば」までの響きには、「君」を待つどこか張りつめたやうな激しい想ひの漲りが感じられる。(この「君」とは、天智天皇であられる)
 
その、希みではち切れるやうな、静止のありやうが、吐き切られる息の中で満々と感じられる。
 
しかし、次の「わが屋戸の」でその静かさが崩れ、「すだれ動かし」で女のこころを揺さぶるやうな動きへと移つてゆく。
 
最後に、「秋の風吹く」が響き終わつた後、「もののあはれ」とはかういふものかといふ感覚に包まれる。
 
 
 
川端康成は、戦時中、『源氏物語』を耽読して、そこに平安王朝の雅の男女の、こころの図が描かれ続けてゐるのを、「明るさ」と見た、と日記に記してゐる。
 
非常時の興奮ではなく、平常心の極みがもたらす明るさを見た。
 
わたしも、この非常時に、人のこころの記録である『萬葉集』を常より深く味わつてゐる。


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2017年07月30日

川の字憩ふ


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子どもたちに、何を伝へられるだらう。 
 
それは、わたしたち大人が持つ理想や主義・主張よりも、むしろ、板についた振る舞ひやことば遣い、何気ない表情、そして喜びを感じ、その喜びに生きる姿・・・、つまり普段のなにげない家族のありやう、子どもたちはそんなものを深く、とても印象深く、受け取る。 
 
蝉の声 目覚めし朝は 親と子と 川の字憩ふ むかしもいまも
 
諏訪耕志

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2017年07月01日

月ニジミテモ


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梓弓 引けよはじけよ 音高く 夜空の月は にじみ揺らげど

玉磨き つるぎ研ぎつつ 慎みて 恃むおのれぞ まことの祓ひ


諏訪耕志

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2017年06月21日

小夜更けて


隣の部屋で妻と娘二人がすうすう寝息を立てとる夜更けに、一人で酒を飲みながら思ふ。
 
静かやなあ。ええ夜やなあ。
 
なんやかんやゆうたかて、日本はええ国や。
 
そらあ、猥雑なところや、わやくちゃなところもあるかもしれんけど、風土や人情にすがすがしいところがある。懐かしいところがある。美しいところがある。
 
かういふ風土や人情いふのは、国あつてのことやけどなあ。国が潰れたり、他の国に乗つ取られたりしたら、昔から続いてゐるかういふ静けさも懐かしさも吹き飛んでしまふで。さう思ふんやけどなあ。
 
 
小夜更けて 水流れをり 静かにも 耳澄ましつつ さかずき挙げむ

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2017年06月09日

あをき空


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あをき空 涙流るる あをき空 いや澄みわたれ そらみつ想ひ
諏訪耕志

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2017年05月22日

タチドマリ 初メテ見エシ


たちどまり はじめて見えし ゆらぐ世に こころもゆらぐ うるはしこの世
 
人はそも 立ち止まらずば 見えぬかも 風にたなびく 神のかなしみ


諏訪耕志

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2017年04月25日

春の夕べ


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わたしたちの暮らしてゐる町には竜神様が祀られてゐる万代池といふ池があり、そこで、わたしは幼い頃からずつと遊んできた。ここは、いつも、清浄な空気を湛えてゐるやうな気がして、思ひが屈するときなどは、必ずここへ足を運び、木の下に何時間も座つたり、がむしゃらに走つたりした。父親ともここでよく一緒に時を過ごした。今日は、その父親が身罷つてから丁度十年目の日だつた。様々な想ひ出がある。ここは、いつも美しい。春の夕べ。親父は、どうしてるだらう。

春十年(ととせ) とほくに仰ぐ 祖(おや)の影
その影いまだ 我を包めり

春十年(ととせ) とほくに仰ぐ 祖(おや)の影
年ゆくごとに 澄みわたるかも
 

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2017年03月30日

旧暦三月三日ノヒナマツリ


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春休みで家族全員揃ふ今日、一日早いけれども、「ことばの家」の旧暦三月三日のひなまつり。氏神様の生根神社にお参りしました。
 
春萌えて こころに匂ふ 桃の花 百とせ越へて 色あせるなゆめ
諏訪耕志



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2017年03月20日

春、花、蜂・・・


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はるかぜの はこぶはなびら かぐはしき
ほほゑみふふみ みずにうかびて


花は夢 色も調べも 流れゆく 
見れど飽かぬも 聴けど飽かぬも



諏訪耕志



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小町藤 ゆれしふさぶさ なにならむ
こころ目覚めし 春の訪れ

 

みつばちの 羽音さやぎて あふれでる
いのち嬉しや 小町藤波

 

諏訪耕志 

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2017年03月13日

龍ノマナコ


龍ノ形シタ雲ニ、
満月ノ光ガ、
丁度マナコノヤウニ輝クヲミル。
 
もちづきの まなこ光りて 駆けりゆく
如月一夜(きさらぎひとよ) 我も駆けらむ

 
諏訪耕志

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2017年02月28日

旧暦二月 三日月ノ夜二呟キヌ


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透きとほる 夜空のはてに 眉引きの 三日月みれば 君し念ほゆ
諏訪耕志                                  


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