わたしたち日本語を生きている人は、一千年前に詠まれ謡われた和歌を楽しむことができます。
小学三年生の子どもたちが「かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける(中納言家持)」の百人一首の和歌と共に部屋の中をかささぎになって舞って遊ぶのです。
そして、いつか、その子たちの人生の途中で、そのかささぎが渡す天への橋に降りている霜の白さに果たし得ぬ憧れの清さを念い知る日が来る。
生きることの酸いも甘いも知った大人たちが「これやこのゆくもかへるも別れては知るも知らぬも逢坂の関(蝉丸)」の和歌に、人生に必ず訪れる別れの切なさを感じる。
そして、その切実な運命の舞台となるその土地その土地を聖なる場に高めゆくことばの力を感じて、こころを震わすのです。
わたしたちは、一千年を遥かに超えて日本語という一つの言語を保持してきた唯一の民族。
時を超えて、人のこころと靈(ひ)に触れることができるのは、もはや、「ことば」しかありません。いにしえに触れることで、人はゆく先を見晴るかすこころの永続性を理屈抜きに実感することができるのです。
日本語はそのことばの靈(ひ)をいまだ秘めている。
わたしのする仕事は、その秘められている日本のことばの靈(ひ)を、声の響きを通して、披き、共に味わい、共に楽しみ、共に分かち合うことです。
産経新聞記事
『日本語残し、人類に貢献 小説家の水村美苗さん 「外国人に言語の本質突き付ける」 』

【ことばづくり(言語造形)の最新記事】
- ご感想『京都公演 宮沢賢治の世界』
- かむながら
- 時間どろぼう と ことばづくり(言語造形..
- ことばづくり(言語造形)と演劇芸術
- メディテーションとことばづくり
- ことばが甦るとき 〜甦りの祭り(復活祭)..
- アドリブでお話を語ってみる
- 七年前、六年前のクリスマス イエスキリス..
- わたしたちの新嘗祭(にひなめのまつり)
- 「母の国 滋賀」でのことばづくり
- 昔話や神話を信じること
- これからの共同作業
- 青い森自然農園でのことばづくり「ことばの..
- ことばのひ 京都南丹でのことばづくり
- ありありとあるものに触れる喜びをはっきり..
- 家庭教育の基 百人一首
- きららの森サマースクールでのことばづくり..
- ことばづくり(言語造形)という芸術の必要..
- 京田辺シュタイナー学校でのことばづくり(..
- 味わい深いひとときの積み重ね

