2024年09月11日

ことばのひ 京都南丹でのことばづくり



昨日、いつもの青い森自然農園でのことばづくり(言語造形)の一日でした。ご参加してくれた皆さん、本当にありがとうございました。天(あま)の浮橋のように空に虹もかかり、皆さんと共に、また、ひとつの「祭り」を創り上げたような感覚です。


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その「祭り」とは、何なのでしょうか。


それは、ひとりひとりどの人も、詩人であり、その人の内に鎮まっている詩心(しごころ)、歌心(うたごころ)が溢れ出して来、まるで熱と光と風と水の流れを浴びるように互いに味わい合うひとときなのです。


目には見えず、耳には聞こえないものを、ことばにしようとする人、それが詩人です。


その詩人が、こころに歌い、書き記したことばを、空間に響きをもって奏でようとする芸術が、ことばづくり(言語造形)なのです。


空間の中でことばを響かせることで、ことばづくりをする人は、この世の物質的なくびきからこころとことばを解き放ち、ことばの響きが産み出す間(ま)と余韻に、ものを言わせようとします。それは、詩人がこころの内においてなしたことを、外なる空間の中に顕わす作業なのです。


その間(ま)には、言霊といわれている靈(ひ)の働きが湛えられ、そこに耳を澄ませる者のこころを、この地から靈(ひ)の世、天上へと運びます。


ことばの音韻が描く靈(ひ)のフォルムと動きに沿おうとするわたしたちのこころを靈(ひ)なる自由へといざないます。


ルードルフ・シュタイナーから生まれた靈(ひ)の学び、アントロポゾフィーは、古代人がおのずから持っていた、そのようなフォルムと動きに沿う力を失ってしまった現代人が、意識的に、改めて、その力を取り戻し、そこに遊び、そうして自由を勝ち取るための道を示してくれています。


ことばづくり(言語造形)という芸術実践は、そのアントロポゾフィーから生まれて来ました。


ことばづくり(言語造形)を通して、ことばの靈(ひ)「言霊」に触れ、包まれ、貫かれ、満たされるのです。


目に見えず、耳には聞こえない靈(ひ)のかたちと動きと調べを感覚し、表現していく道を歩むのです。


世の詩人たちが聴き取っている調べを、ことばづくり(言語造形)をする者が身をもって奏でることで、詩人の求めた靈(ひ)をより大きくより深く響かせる可能性を啓きます。


そして、我が国は、言霊の幸ふ国でありました。


天皇陛下や宮人たち、武士たち、そして庶民に至るまで多くの日本人は、詩人でありました。


その詩人であることを促す文化の土台は、和歌、祝詞、そして神話などの日本の古典文学にありました。それらは、本当に豊富に、また無限に深く、ことばを生きる、その道を拓いてくれています。


とりわけ、天地(あめつち)の初発(はじめ)から語り始め、この国のとこしえに栄え続ける原理を語る、古事記(ふることぶみ)。


そこで語られることば遣いは、神々の手ぶりを顕わすものであり、それがそのまま、いにしえの人々の手ぶり、ことば遣いとして記録されています。


その神々の手ぶり、いにしえの人々のことば遣いから聴き取られる、このくにの悲願。


その悲願を全身全霊で受け取った人々によって詠われた叙情詩、ことばの芸術が、万葉集(よろずのよのふみ)です。


ことばづくり(言語造形)によって、その調べを奏でることができます。


わたしは、そのことを、深く確かに感じています。


ことばづくり(言語造形)をもって、ともに、古事記と万葉集をはじめとする日本古典文学を空間に奏でてゆくことを、これからも、多くの方々としていきたいと願っています。


それは、この国とわたしたちひとりひとりを靈(ひ)において甦らせ始めるための、根底の礎を築きゆく仕事だと信じています。


地味ではありますが、大いなる仕事だと信じています。


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posted by koji at 14:11 | 大阪 ☀ | Comment(0) | ことばづくり(言語造形) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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