2023年12月25日
友へ メリークリスマス
三年前のクリスマスイブの日に、友人から電話があった。
彼とは、それまでの10年近くの間、本当に親しくつき合ってきた間柄だった。
その年の夏ごろ、すでに始まっていたコロナウイルス禍によってわたしの仕事がなくなって行くことを心配して、少なくないこころづけまで送ってくれた彼だった。
その彼が、その夜の電話で語ってくれたことは、自分が犯した罪を償うためにこれから牢屋に入るのだ、ということだった。
彼は、彼自身と一緒に写っているわたしの写真はあらゆるところから全部削除してくれ、と言った。そうしないと、わたしに迷惑がかかるから、と言った。
そして、いまどこにいて、これからどこに収容されるかもわたしに全く言わなかった。
こんなことがあっていいのかと思った。
どうして、こんなことが起こるのだろう。
どうして、こんな悲しみが訪れるのだろう。
不条理というものがあることをはっきりと感じた。
彼の話を聴きながら、彼と共にいた時間の中のいろんなことごとを想い起こした。
電話の最後で、彼は「メリークリスマス」と言って、電話を切った。
メリークリスマス。メリークリスマス。メリークリスマス。
今年も、どうか、静かで、聖き夜が訪れますように。
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