2023年09月08日

国を守る根底の仕事



6acd59555ffc018d09d9926a404bba90-e1683419379847.jpg
鎌倉の妙本寺境内にある「萬葉集研究遺跡」の石碑



鎌倉時代、隣国の元からの軍事的襲来の間際、鎌倉の地において、仙覚(せんがく)といふ僧侶は、萬葉集の注釈を施してゐた。


そして、同じころ、日蓮は、法華改宗を宣伝し、来たる国難を叫んでゐた。


このふたりは、ともに、この国を根底から守らうとした人である。


前者の仙覚は、漢字ばかりの萬葉仮名で書かれてゐる萬葉集の和歌を後代の日本人に親しく傳へてゆくために、古い日本語の調べ(訓み方)をなんとか汲み上げる仕事をなしとげた人。


国語を守つた人である。


国のことばを守るといふことがどれほど大切なことか、たいていの人は気づいてゐない。


元といふ大国が日本に侵略して来ようとしてゐる、そのとき、防人たちが日本中から九州北部に集結し、実際に闘い抜いてくれた。


しかし、国語や日本人のこころを守るといふ精神の仕事を仙覚や日蓮は担ったのだ。


この、国を支える根底の仕事である、こころとことばを守り、育てゆくこと。


これこそが、教育の一番の基である。


そして、国防の最も基となるものである。


一国一国が自主独立できてゐるとき、そこに住む人たち、ひとりひとりは、自由を、自主独立を生きることができる。


国難に先駆けて、平時の時から、このことを意識して教育を作り上げてゐることが、わたしには大切なことのやうに思へてならない。


先代の方々の仕事の内、かういつた精神の仕事は、見逃されやすいことではないだらうか。






posted by koji at 10:55 | 大阪 ☁ | Comment(0) | 断想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
■ 新着記事
ご先祖供養こそ我が国の信仰の営み (09/09)
見えないものを観る力を育む 聞こえないものを聴く力を育む (09/07)
こころのこよみ(第24週) (09/07)
衝動や情念や欲望を無理やり抑え込まないこと (09/05)
幼児教育の重要性とカルマの働き (09/03)
写真という信仰の道 〜日高 優著「日本写真論」〜 (09/03)
日本昔話 月見草のよめ (09/02)
2024年9/29「ミカエルの祭りの調べ」からの毎週日曜夜『こころのこよみクラス』へのお誘い (09/02)
こころのこよみ(第23週) (08/31)
カルマと自由は両立する (08/30)
■ カテゴリ
クリックすると一覧が表示されます。
ことばづくり(言語造形)(235)
アントロポゾフィー(178)
断想(560)
講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告(437)
動画(309)
アントロポゾフィーハウス(92)
声の贈りもの(5)
うたの學び(88)
神の社を訪ねて(37)
こころのこよみ(魂の暦)(468)
読書ノート(71)
絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真(40)
ことばと子どもの育ち(13)
「ことよさしの会」〜言語造形に取り組む仲間たち〜(11)
わたしの来し方、行く末(3)
■ 最近のコメント
待ち望まれてゐることばの靈(ひ)〜「こころのこよみ」オンラインクラスのご案内〜 by 諏訪耕志 (04/03)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 by (04/09)
12/10(土・夜)12/11(日・朝)オンライン講座「星の銀貨」を通して〜人への無理解と憎しみについて〜 by アントロポゾフィーハウス (12/07)
穏やかで安らかなこころを持ち続けること、しかし、目覚めること by 諏訪耕志 (04/23)
教育の根本 by 諏訪耕志 (06/21)
■ 記事検索
 
RDF Site Summary
RSS 2.0