2023年08月02日
家庭教育の基としての百人一首
風そよぐ楢(なら)の小川の夕暮れは 禊(みそ)ぎぞ夏のしるしなりける
藤原家隆 (百人一首 九十八番)
百人一首。それは、我が国の家庭教育の基でありました。
近畿地方ならば、どの家にも必ず百人一首のカルタがあつたものです。
それは、ことばといふものの美しい声の調べを子どもたちに伝へる母たちの心用意でした。
和歌やことばの意味は、子どもたちが後に成長してから、時が熟した時に会得されるものでした。
しかし、幼いときに覚えたその調べと律動は、美的でないことば遣ひに対する本能的な拒否となつて、その人の一生を静かに導いたのです。
夏の季節に詠まれた、藤原家隆の歌を挙げてみました。
「楢(なら)の小川」は京都の上賀茂神社境内を流れる川で、わたしの娘たちも幼い頃、何度かこの川で水遊びをさせてもらひました。
川辺の水遊びとは、禊ぎといふ、身の浄まり、甦り、生まれ変はりを促す神事に通じる、我が国古来の日本人の営みです。
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