2023年04月30日

「マタイ受難曲」を聴く



344378936_666452301988981_3100845267621854058_n.jpg



昨日、大阪枚方市の關西醫科大學大ホールにて行はれたバッハの「マタイ受難曲」を次女とふたりで聽きに行きました。


以前、言語造形の公演でチェロを彈いて下さつた山口健さんがフェイスブックで紹介して下さつてゐた公演だつたのです。山口さん、ありがたうございます。本當に素晴らしい公演でした。


娘の誕生日が近いので、誕生日プレゼントのつもりで、當日朝、誘つてみましたら、「行く」と言つてついて來てくれました。


會場に着いてみますと、大ホールの一階はぎつしり滿員、おそらく二階も三階も聽きに來た人たちで一杯で、千人を超えるお客さんでした。


一曲目の合唱曲「來たれ娘たちよ、われと共に歎け」を聽いて、わたしは譯も分からないやうな情がいきなりこみ上げて來て、滂沱の涙です。


前半、後半、それぞれ一時間半、計三時間強の公演、何度、涙が溢れて來たことか・・・。


十字架に掛けられようとしてゐるイエスを弟子のペテロが三度否認し、自分はキリストと何のかかはりあひもないと云つて否定する箇所のあと、そのペテロが外へ出て行き、さめざめと泣いた、と云ふ短いけれども痛切極まりない旋律のことを、音樂評論家の吉田秀和氏が書いてゐました。


「ここを聽いて、胸をつかれないとしたら、その人は音樂を聽く必要のない人だ」と。


果たして、その場面における福音史家役の畑儀文氏の吐く息の中の震へるやうな小さな聲の響きたるや・・・。


終演後、客席からの拍手が鳴り止みませんでした。


歸りの電車の中で、娘は、キリストの意味、神と人との關係、人の罪、その他、樣々なことをわたしに訊いて來ました。


15歳の人にとつて、これからの生きて行く中で、今日の音樂が、どう響き續けるのか。


また、いつの日か、別の角度からでも、樣々なことを語り合へたらいいなと思ひます。







posted by koji at 21:04 | 大阪 ☁ | Comment(0) | 絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
■ 新着記事
社会の大勢に抗してひそやかに (09/14)
大声で朗読することの大切さ (09/14)
こころのこよみ(第25週) (09/13)
ことばのひ 京都南丹でのことばづくり (09/11)
ご先祖供養こそ我が国の信仰の営み (09/09)
見えないものを観る力を育む 聞こえないものを聴く力を育む (09/07)
こころのこよみ(第24週) (09/07)
衝動や情念や欲望を無理やり抑え込まないこと (09/05)
幼児教育の重要性とカルマの働き (09/03)
写真という信仰の道 〜日高 優著「日本写真論」〜 (09/03)
■ カテゴリ
クリックすると一覧が表示されます。
ことばづくり(言語造形)(236)
アントロポゾフィー(178)
断想(561)
講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告(437)
動画(310)
アントロポゾフィーハウス(92)
声の贈りもの(5)
うたの學び(88)
神の社を訪ねて(37)
こころのこよみ(魂の暦)(469)
読書ノート(71)
絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真(40)
ことばと子どもの育ち(13)
「ことよさしの会」〜言語造形に取り組む仲間たち〜(11)
わたしの来し方、行く末(3)
■ 最近のコメント
待ち望まれてゐることばの靈(ひ)〜「こころのこよみ」オンラインクラスのご案内〜 by 諏訪耕志 (04/03)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 by (04/09)
12/10(土・夜)12/11(日・朝)オンライン講座「星の銀貨」を通して〜人への無理解と憎しみについて〜 by アントロポゾフィーハウス (12/07)
穏やかで安らかなこころを持ち続けること、しかし、目覚めること by 諏訪耕志 (04/23)
教育の根本 by 諏訪耕志 (06/21)
■ 記事検索
 
RDF Site Summary
RSS 2.0