今日、久しぶりに大阪市営バスに乗ったのです。
すると、来ました来ました、典型的と言ってもいいような「大阪のオバチャン」。
バスに乗り込んでくるやいなや、二人席の奥に先に乗って座っておられたご婦人の横に座って、そのオバチャン、大きな声でお話になり出されました。横のご夫人とは、初めて会った人です、きっと。
「アタシ、ほんまに、この前も、バス乗ったとき、若い人にゆうたんです。お年寄りに席譲ってあげてねって。そりゃ、万にひとりぐらいは、『なんで席譲らなあかんねん、おばはん』ゆうてくる人もいますけど、ていねいに理を尽くしてゆえば、分かってもらえますねん。」
私が座っている席のすぐ後ろで、いきなりそんな話を始められたもんですから、「あっ、俺のことゆうてんのかな、しかし、俺は若ないしな。いや、どうやろ・・・」と複雑な気持ちでいたのです。
そうしましたら、次から次へと話は展開していくのでした。
「いや、ほんまに、今どきの人は、そういうことから始まって、この国のこと、どう思うてますんやろ。生き方ゆうたらええんでっしゃろか、道徳ゆうたらええんでっしゃろか。ほんで、外国のもん、ばっかり買(こ)うて、日本製のもん、買(か)えへんさかい、こんなに産業も衰退して、国も弱あなってるんとちゃいますか。この国は、ほんまにええ国やのに、こんなに恵まれてんのに、それを当たり前みたいに思うてる。どないなってまんねやろうなあ」と明るく元気な声で国のことを憂えてはります。
「そやけど、なんでんな。毎日、アタシも元気発散してますねん。くよくよしてても、しゃあないですもんねえ。この前、バス乗るのに列並んで待ってます時に、前に並んでる人に『お互い、こうやって長いこと立ちながら待ってんのん、しんどいことですなあ』ってアタシいいましてん。ほしたら、その前の人、ニコッと笑うて『ほんまですなあ』ゆうてくれましてん。アタシ嬉しなったから『今年120歳なりましたから、ほんましんどいですわ』言いましたら、列に並んでるみんな、ぎょろっとこっち見ますねん、ぎょろっと。毎日、そんな、アホみたいなことばっかりゆうてますねん。」
まだまだ続きます。
「コロナ前のいつやったか忘れましたけど、今日みたいな天気のええ日に大阪城の下でお花見しましてねえ。その時、隣のシートのグループさんと仲良うなりましたさかい、『まあ、一杯、酒飲みませんか』ゆうてお酒勧めてくれはりますねん。アタシ、嬉しゅうて、『いややわあ、あんまり、飲ませんといて下さいね』いいましてん。ほしたら、そのグループの人、『おばさん、お酒、いけそうなお顔してますやん』言いはりますから、アタシ『そら、二十歳(はたち)は過ぎてますからねえ』言いましてん。これは、嘘ちゃいますやろ。もう、毎日、そんなアホみたいなことばっかりゆうて発散してますねん」
もう少し続きます。
「大阪の人は、おもろい、おもろい、って、よそ様から、ようゆわれますやん。そやさかい、こっちかて、おもろせなあかんかな、思うて、またバス乗る前、列並んでるときに、前に仲良う話してるお母さんと息子さんおりましたから、わたしもいつのまにか話の仲間に入って、話してましてん。話も弾んでだんだん興に乗ってきて、指でピストル撃つ真似したら、知らん人でも大阪人は『ううっ』ゆうてリアクションするゆう話になって、試しにやってみましょか、ゆうことになって、列の後ろの人にやったんです。ほしたら、男の人やったんですけど、何もリアクションしませんねん。『しょうもないことして、すみません』ゆうて、その男の人に謝ったら、その人『弾、はずれたさかい』いいますねん。」
わたしは、前の席で、笑いをこらえるのに、どれだけ我慢したか・・・。多分、バスの中のみんなもそうやったと思います。春のひととき、緩みました( ´艸`)。
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