子どもを育んでいこうとするわたしたちの課題。
わたしたちの教育の課題は、子どもの精神・こころを、からだと調和させるということです。
その調和のためには、呼吸というものが、とても重きをなします。
わたしたちは、子どもの傍で、歌を歌い、お話を読んだり語ってあげたりすることができます。
また、ものを観る時、聴く時、ものに触れる時、ものを扱う時、ものを言う時、わたしたちは深い息遣い、活き活きとした息遣いで、それらの行為をなしていくことができます。
その時になされるわたしたち大人の息遣いが、子どもの息遣いをおのずと整えていくのです。
その整えられた息遣いは、その子の胸の領域から下腹部を中心とする新陳代謝を司る領域に働きかけ、その子の血の巡りを促し、臓器を健やかに成り立たせていくことの助けになります。
さらに、呼吸の働きが持つより大事な側面として、呼吸のリズミカルな繰りなしは、頭を中心とする神経・感官のシステムにも働きかけていき、その子が、深い息遣いで、静かに、ものを観、ものを聴き、ものに触れることのできる力をみずから育んでいくことを支えていきます。
子どもが静かさの中で世に生きることを、理屈からではなく、息遣いというおのずからの働きによって学んでいくことができるのです。
その子の精神・こころが、その子のからだ(とりわけ神経・感官のシステム)に健やかに流れ込んでいくことによって、その子は静かさの中で生きることを学んでいきます。
精神・こころとからだの間にハーモニーが生まれてくるのです。
子どもの息遣いは大人の息遣いからなりたっていきますので、わたしたち大人の意識次第で、そのハーモニーが子どもの中に生まれることを助けることができます。
教師の方だけではなく、子どもをを持つ親御さんの方々とも、この意識を分かち合っていくことができたらと希っています。
そのためには、大人自身が折々の芸術体験、芸術実践の時間を持つことです。
人は、科学だけでは、人として生きていくことはできません。芸術が必要です。
そして、家庭こそが、子どもの育ちにとっての無尽蔵に豊かな場所なのです。
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