
世の冬の夜に精神の光を荷ひゆくべく、
恵みに満ちたわたしは心底追ひ求める。
輝くこころの萌しが、
世の基に根をおろすことを。
そして神のことばが、感官を覆ふ闇の中で、
ありとあらゆるものを輝かせ、貫いて響くことを。
Zu tragen Geisteslicht in Weltenwinternacht
Erstrebet selig meines Herzens Trieb
Dass leuchtend Seelenkeime
In Weltengruenden wurzeln
Und Gotteswort im Sinnesdunkel
Verklaerend alles Sein durchtoent.
わたしは、既に十分な恵みに満たされてゐる。この世に生かされてゐる、といふことの中に、どれほどの豊かな恵みが既に潜んでゐるか。
そのことを想ひ起こすたびごとに、わたしのこころは明るく暖かくなる。こころが精神の光に照らされてゐるのを感じる。
でも、そんな恵みに満ちてゐるわたしが、心底追ひ求めることがある。それは、自分の力を最大限に使ひ尽くして、仕事をすることだ。
この恵みに満ちたからだとこころをフルに使つて仕事をすることだ。
輝くこころの萌しを世の基に根づかせることだ。天から戴いてゐる恩恵を大地にお返しするのだ。照らされてゐるだけではなく、自分自身から照らしていくのだ。
さうして、そのやうに仕事をしていくうちに、この恵みに満ちたからだとこころを使つてゐるのが、わたしのわたしたるところ、「精神」だといふことが感じられてくる。
実は、精神こそが隠れた主役で、わたしの人生の一コマ一コマを進めてゐたことに気づく。
その精神は、からだを基にしながら、からだの制約を超える。
こころに足場を見いだしながら、こころを、豊かに、大きく、広くしていく。
精神が主役である。
その精神が奏でようとしてゐる音楽がある。
その音楽を奏でることに、このからだとこころがいかに仕へていくことができるか。
仕事をすることによつてこそ、ますます精神が主役になつていくのを、日一日と感じることができる。
身の回りが暗く寒くなつてくるほど、身の内に宿つてゐる<わたし>こと精神が、ますます明るさ・暖かさ・熱さを滾らすことができる。
<わたし>こと精神。
「神のことば」と和して響くところをこそ、<わたし>といふのではないだらうか。
「神のことば」はありとあらゆるものを輝かせ、貫いて響いてゐる。
だからこそ、<わたし>よ、歌へ。
もつと高らかに。
そしてもつと優しく。
世の冬の夜に精神の光を荷ひゆくべく、
恵みに満ちたわたしは心底追ひ求める。
輝くこころの萌しが、
世の基に根をおろすことを。
そして神のことばが、感官を覆ふ闇の中で、
ありとあらゆるものを輝かせ、貫いて響くことを。
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