
ルオー「《受難》1 受難」1935年
わたしはいま、わたしを取り戻し、
そして、輝きつつ、内なる光が拡がりゆく、
空間と時の闇の中へと。
眠りへと自然がせきたてられるとき、
こころの深みはきつと目覚めてゐる。
そして、目覚めつつ、太陽の熱を担ひゆく、
寒い冬のさなかへと。
Ich darf nun mir gehören
Und leuchtend breiten Innenlicht
In Raumes- und in Zeitenfinsternis.
Zum Schlafe drängt natürlich Wesen,
Der Seele Tiefen sollen wachen
Und wachend tragen Sonnengluten
In kalte Winterfluten.
陽の光と熱を浴びながら歩き回る夏の彷徨が終はつて、静かに立ち止まり、内なるこころの光と熱を生きていく秋が始まつてゐる。
内なるこころの光と熱によつて、こころが目覚めてゐるといふこと。
「わたしがわたしである」ことに目覚めてゐるといふこと。
そして、こころが生きる情熱を感じてゐるといふこと。
これほど、頼りになるものがあるだらうか。
これがあれば、秋から冬にかけて、たとへ外の世が生命力を失つていき、枯れていつても、内なるこころは、きつと、「ひとりのわたし」として、活き活きと目覚めてゐることができる。
夏にいただいた太陽の光と熱の大いなる働きを、内なるこころの光と熱としていく。
そして、来たる冬の寒さのさなかへと意欲的にそのこころの光と熱を注ぎ込んでいくことができる。
光と熱。
それはいまやわたしのこころの内から発しようとしてゐる。
そしてこれからやつてくる冬の闇と寒さとのコントラストを際立たせようとしてゐる。
太陽の光と熱と共にあの夏をからだ一杯で生きたからこそ、この秋があるのだ。そして、この秋が、冬へと引き続いていく。
そのやうな季節のつながり、くりなし、なりかはりをていねいに、確かに、感じること。それが、内なるこころのつながり、くりなし、なりかはりをも自覚することへと繋がつていく。
四季を生きること、一年のいのちを生きることが、みづからを知ることへとわたしを導いていく。
この『こころのこよみ』に沿ひつつ、四季それぞれに息づいてゐる「ことば」を聴く。
ならば、それらの「ことば」が、生命ある連続としてこころにしずしずと流れてくる。
夏、外なる光と熱の中にわたしは溶け込み、ある意味、わたしはわたしを見失つてゐた。
秋、わたしはわたしを取り戻し、萌してゐた希みが羽を拡げようとしてゐる。
さあ、これからが、稔りの季節、粛々とした仕事の季節だ。
わたしはいま、わたしを取り戻し、
そして、輝きつつ、内なる光が拡がりゆく、
空間と時の闇の中へと。
眠りへと自然がせきたてられるとき、
こころの深みはきつと目覚めてゐる。
そして、目覚めつつ、太陽の熱を担ひゆく、
寒い冬のさなかへと。
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