ルードルフ・シュタイナーは、1916年に、こんな発言をしてゐます。「21世紀の初めに、今はまだ述べることができないやうな形で、悪が現れるでせう」
そして、オランダのアントロポゾーフであつたベルナード・リーヴァフッドが1992年、死の一か月前に語つたことばにも驚かされます。
「この戦ひが最もひどくなるのは、2020年から2040年あたりに来るといふのがわたしの予測です。そのときに、悪魔の奈落が開くでせう。ナチスやボルシェビズム(共産主義的全体主義)はこれと比べれば青ざめてしまふでせう。その時、何百万もの人々が奈落に突き落とされるでせう。しかし、何百万もの人々が抵抗するでせう」(『魂の救済』より)
いま、まさに、そんな時代に突入してゐる。
いま、現実化してゐるのは、多くの愚行が多数派によつて常識とされ、健全な考へを持つ人が変人扱ひされようとしてゐる状況です。
恐怖を与へることによつて大衆をコントロールする全体主義の跋扈が、だんだんと始まつてゐます。これは、確かに、ナチズムよりも、ボルシェビズムよりも、巧妙で恐ろしいものです。
なぜなら、この大衆洗脳を意図するプロパガンダによつて、人は、権力に圧迫されなくても、自分自身から愚行に走るからです。
他人を守る、他人に迷惑を掛けないといふ、美辞麗句の裏では、恐怖がその人のこころを支配し、その恐怖から他人に指図しようとしてゐます。
恐怖といふ網が、人のこころを覆ひ尽くし、社会まるごとをがんじがらめにしてしまつてゐます。
きつと、その影響でせう、若い人の自死が、わたしの周りでさへも、聴かれるやうになつて来てしまひました。
人々をこころの檻の中にがんじがらめにするために、実は、国際資本主義者たちと国際共産主義者たちはひとつに繋がつてゐる。
マスコミやアカデミズムや政府からの声明によつて、表舞台では対立してゐるやうに見えるのですが。
と言ふよりも、どちらも、共通の巨大な経済の力でいいやうに動かされてゐて、その力が全世界を一元化して支配しようとしてゐる。
裏側でうごめいてゐたその悪魔的な動きがはつきりと表面化しだしたのは、コロナパンデミックが始まつた2020年からではないでせうか。
それは、ずつと以前から周到に用意されてきたことだつたことを、わたしは知ることができました。その、「ずつと以前」が、どの位の「以前」なのかを、たとへば、林千勝氏やその他の方々の書物を通しても知ることができました。
いま、まさに、ひとりひとりの人に問はれてゐるのは、「人にとつては物質的生命がすべてであるとする唯物主義」か「生命と同じほど、いや、それよりも大切なものとしてのこころと精神の価値を認める見識と覚悟」か、どちらを選ぶのかといふことです。
わたしも、その意識を持つて、今を生きてゐます。この危機感からアントロポゾフィーハウスを始めてゐます。
この21世紀の今、アントロポゾフィーが必要だと強く感じてゐます。
アントロポゾフィー運動において、わたしたちは小さなグループをいくつも作り、恐怖から自由になり、この時代を生き抜いて行く叡智と勇気を各々ひとりひとりの胸の内に育んでゆくのです。
最後にふたたび、先に書いた、国際資本主義者と国際共産主義者とをひとつに繋げてゐる者たちについて語つてゐる1908年のシュタイナーのことばに帰ります。
「ロスチャイルド家の四人の人物がフランクフルトから世界各地に移住した時のことをお話ししなければなりません。サロモン・ロスチャイルドはウィーンへ、ナータン・ロスチャイルドはロンドンへ、カール・ロスチャイルドはナポリへ、ヤコブ・ロスチャイルドはパリへ移りました。そして、銀行といふものが、彼らの天分によつて、エゴイスティックなものになつてしまつたのです。人といふものが、金銭のために売り渡されてしまつたのです。・・・人であることを無力にする力がすでに蔓延つてゐます。かうして、世界をよく観ると、いかに人といふ人が、いま、唯物主義の深淵に向かつて突き落とされようとしてゐるかが見えてきます。しかし、人であることが救はれえます。ふたたび、精神の世に昇りゆくことができます。内なるこころの力を強めることを通して、人といふものをよそにした資本の力から自由になることを学びつつ、人は救はれるのです」(『ヨハネ黙示録』より)
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