かうして舞台をするといふことは何を意味するのだらう。演じるわたしたちからすれば、それは、まぎれなく、世に新しい何かを産み出さうとしてゐる。できうるならば、研鑽の果てに、恣意や自意識の滓から浄められた精神をもつて何かが生まれて来るのを乞ひ希んでゐる。そして、聴きに来て下さつた方々、観に来て下さつた方々と共に、その初めて生まれた赤子の産声を聴き取ることができれば・・・。そんな夢を抱きながら、切実に舞台に臨んでゐる。
その産声を聴き取るには、演者は内において動くことが必要になつて来る。動くこと。能動的なこと。活気に満ち溢れてゐること。汗を流すことを厭はないこと。何はなくとも、わたしたちは動く。生きる。汗を流す。さうすることで、できうる限り、こころを浄めつつ幼な子の誕生を待つ。その出産・分娩には終はりがなく、死ぬまで続く。死んでも続く。精神の幼な子を産み続ける。マリアの営みだ。
今日、来て下さつた人は、皆、共に、動き、「外郎売」を、「山月記」を、共に生き、ことばの響きを、音楽の調べを、オイリュトミストと共に汗を流しつつ、生き抜いた。それは、フィジカルなものから、こころの境へ、さらには、言語の精神の境へと共に登つてゆく作業だ。
わたしたちは、人々との、観客との、共同作業を求めてゐる。しかし、その共同作業を織りなすためには、まづは演者であるわたしたちみづからが精神の線に沿つて生き抜くことからしか始まらない。
今日といふ日を共に創つて下さつた皆様に、こころより、お礼を申し上げます。
どうもありがたうございました。


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