


幾枚かの写真にありますやうに、人の前で、紙に記されてある文字を声に出す時、人は大抵まっすぐ立ち止まつてゐます。(カメラの具合ひが芳しくなく、ピントが甘くなつてしまひました。申し訳ありません😇)
そして、出来る限り間違つて文字を読まないやう、少しでも上手く読めるやう、幾分緊張しながら声を発します。
そのときに発せられることばは、しかしながら、聴き手の頭に届きはしますが、ハートにまで響きにくく、肚や腰や手足にも働きかけません。
20世紀初頭を生きた精神科学者ルードルフ・シュタイナーは、からだをまるごと使ひつつ、とりわけ、腕と脚に芸術的な動きをもたらしつつ、ことばが話されることによつて、ことばはその生命と精神を甦らせる、さう語つたのでした。
さうして、動きと共に語り出す皆さんのことばのなんと活き活きとしてゐることでせう。








言語造形の学びには、様々な側面があります。
わたしは、次のことを、まづもつての次第にして、皆さんとことばの芸術を分かち合つてゐます。
それは、音韻の細やかな区分けから入るのではなく、文の姿・かたちの中にぢかに入つて行くかのごとく、からだの動きをもつてまとまりのある文を発声して行くのです。作品の中にぢかに入つて行くのです。
からだを普段以上におほらかに、優しく、時に激しく、動かしながら、それによつて解き放たれる息遣ひに乗つて発声する時、ことばの響きが空間に精神のフォルムを描きながら、隅々にまで拡がりゆくのをわたしたちは体験することができます。
さうすることによつて、聴き手は、もはや、頭でことばを聴くのではなく、からだまるごとで聴いてゐます。ことばに包まれてゐます。神経系ではなく、血液系でことばを聴いてゐます。
さう、ことばとは、そもそも、「聴くもの」といふよりも、「体験されるもの」「生きられるもの」なのです。
そのやうなことばのフォルムや動きを感覚する「ことばの感官」がどの人にもあるのですが、そのやうなアクティブで、芸術的なことばの聴き方、話し方を現代人の多くは失つてゐます。
言語造形を通して、いま一度、古代人が持つてゐたそのやうな「ことばの感官」を意識的に育むことによつて、わたしたちは、ことばの精神文化を再び興していくことができる。
わたしは、さう、固く信じてゐます。
来月12月は、22日(水)と23日(木)、二日連続で、『古事記』を原文で語る言語造形の時間を持ちます。また、22日には『メディテーションと芸術実践』と題しましてアントロポゾフィーの講座もいたします。詳しくは、後日、また、このブログで発表いたします。

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