13年前の今日、この作品から始まる公演『呼吸する世界 宮沢賢治』をしたのでした。
ここからも、たくさんのよきものが生まれました。
いま、あらためて、振り返り、ありがたく想ひ起こします。本当に感謝です。
2008年11月2日、大阪市立住吉人権文化センターで行ひました『語り芝居 宮沢賢治 呼吸する世界』と題する公演から、諏訪耕志によるオープニングの作品「注文の多い料理店・序」を聴いていただきます。(作曲・演奏 吉田 幸平)
なべての悩みをたきぎと燃やし なべての心を心とせよ
風とゆききし 雲からエネルギーをとれ
宮沢賢治 『農民芸術概論綱要』より
わたしたちは毎日を生き抜いていくために、衣食住といった物的な糧とともに、必ずこころの糧を求めます。
こころの糧は本来的に精神からやってきます。
精神とは、まことと愛と善きことです。その精神から、こころの糧は得られます。
賢治は、風から、雲から、そのこころの糧を得よ、と叫びました。
風に、雲に、宇宙に、精神は息づいているからです。わたしたちの生きている時代は、どんどん先に進んでいます。
しかし、人が人として生きていくパワーとエネルギーを根本的にどこから得るのかということは、時代を貫いて変わらないのではないでしょうか。
みずからの恣意を離れ、風が(もしくは神々しい息が、精神が)吹き込んでこられるように、みずからのこころと身体を空っぽにすることができれば、わたしたちは、その都度その都度、生きる底力を湧き立たせることができる。
これらのことは、何事も一生懸命に頭で考えて考えて考えている現代人である私たちにとっては、分かりにくくなっていることかもしれませんが、人間の本当に原始的なこととして、皆さんと分かち合いたいと希んでいます。
身体とこころまるごと使ってことばを語り歌う、言語造形という芸術を通して。
覚悟を通して。
この「序」を聴いていただき、『注文の多い料理店』の宇宙的、精神的な深みを持つ作品群まるごとを読んでみようかといふ、ひとつのきつかけになれば、と思つてゐます。
「アントロポゾフィーハウス ことばの家」 諏訪耕志
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