おひさまの丘 宮城シュタイナー学園にて、今回、6年生、4年生、2年生、それぞれの授業に参加させていただきました。
2年生と4年生の合同の時間では、秋ならではの昔話「ならなしとり」が劇に仕立てられます。子どもたちは先生が作つた衣装を身に纏つて演じます。からだまるごとで物語を生きます。
4年生のみの時間では、この学園を中心とする地図を描くことで、郷土学のはじまりを生きます。また、午後には、大工さんと共に、家造りも始まり、床を組む木材を伐り整へる仕事に取り組んでゐました。
どちらの授業においても、どの時期に、何を子どもは学ぶべきかといふことは、勿論、大切なことで、しつかりと考へられたカリキュラムに沿つて、ひとつひとつの授業が繰りなされてゐます。
しかし、最もかなめのことは、ひとときひとときにおける、教師の方のこころと精神のありやうであり、そこからごく自然に生まれて来る、立ち居振る舞ひ、ことばの語り口。
そのことを、今回の授業でありありと感じさせてもらへたのです。
繰り返しますが、教師が何をなすかも勿論大切なことですが、それ以上に大切なことは、教師その人の音楽的なあり方、芸術的なあり方であることを、ありありと感じさせてもらつたのです。
先生の語り口が、歌、なのです。
そして、6年前のこの宮城シュタイナー学園の誕生と共に、ずつと成長を共にして来た6年生の授業における、担任の先生と子どもたちの関係に、わたしは、こころの底から深く何かを感じたのでした。
それは、語弊を招くことを恐れるのですが、担任の先生と子どもたちとの間に育まれて来た神秘的な何かでした。
人と人との関係は、かうなりうる、といふこと。
きつと、昔の教育とは、このやうなものだつた、といふ幻視にも似た想ひに包まれてしまつたのです。
「シュタイナー教育における第二の七年期の子どもたちに対して教師は権威でなければならない」と言ふやうな紋切り型のフレーズはここでは念頭に浮かび上がつては来ません。
もつと、情が直接に感知する何かが、息づいてゐるのでした。
子どもたちも教師も、共に、同時代のこの地球の上に生きてゐる者同士であるといふこと。
そして、きつと、浅くない縁で結ばれた人と人とが、とこしへに、結ばれては、ほどかれ、また、結ばれ・・・。
担任の福島 玲子さんは、「いつも通りの授業なのです」と慎ましく仰つてをられました。
そんな環境に毎日生きてゐる子どもたちと共に、ほんのひとときではありますが、言語造形をもつて生きさせてもらへたわたしでした。
ことばの美しさ。和歌といふことばの芸術。そのことを子どもたちに語りかけ、共にからだまるごとで詠ひ上げる。写真は、そのときのものです。
糸電話を使つての音の響きを体験する物理学のはじまりの6年生の授業をわたしは共にさせてもらつたのですが、翌日わたしが大阪に帰つたその日の授業で、四人の子どもたちが、そろつて、わたしの姿をも書きとどめてくれたノートを、福島先生が送つて下さいました。
授業の中で、先生が思はず教室の床に落としてしまつたものを、一斉にさつと椅子から立ち上がつて、皆で拾ひ集める、そんな子どもたちでした。

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