秋めいて和らぐ、
感官へのそそり。
光の顕れに混じる、
ぼんやりとした霧のとばり。
我が身をもつて観る、場の拡がりに、
秋、そして冬の眠り。
夏はわたしに、
みづからを捧げてくれた。
Es dampfet herbstlich sich
Der Sinne Reizesstreben;
In Lichtesoffenbarung mischen
Der Nebel dumpfe Schleier sich.
Ich selber schau in Raumesweiten
Des Herbstes Winterschlaf.
Der Sommer hat an mich
Sich selber hingegeben.
ゆつくりと和らいでくる陽の光。
それとともに、感官へのそそりも和らいでくる。
そして、秋が日一日と深まりゆくにつれて、過ぎ去つた夏と、これからやつてくる冬とのあひだに、立ちかかるかのやうな、霧のとばり、「秋霧」。
その「とばり」によつて、戸の向かう側とこちら側にわたしたちは改めてこころを向けることができる。
戸の向かう側において、過ぎ去つた夏における世の大いなる働きの残照をわたしたちは憶ひ起こす。
夏における外なる世の輝き。
そして夏における内なるこころの闇。
その外と内のありやうを憶ひ起こす。
そして、戸のこちら側において、だんだんと深まつてくる秋における生命の衰へと、来たるべき冬における生命の死とを、わたしたちは予感する。
これからの冬における外なる世の闇。
そしてクリスマスに向かふ内なるこころの輝き。
その外と内のありやうを予感する。
夏を憶ひ起こすことと、冬を予感すること。
こころのアクティブな働きをもつて、その間に、わたしたちは、いま、立つことができる。
さうすることで、きつと、こころが和らげられ、静かでありながらも、意欲を滾らせてゆくことができる。
秋めいて、和らぐ、
感官へのそそり。
光の顕れに混じる、
ぼんやりとした霧のとばり。
我が身をもつて観る、場の拡がりに、
秋、そして冬の眠り。
夏はわたしに、
みづからを捧げてくれた。
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