2021年08月25日

こころのこよみ(第21週) 〜問ひを立てる力〜







わたしはこれまでにない稔りの力を感じる。
 
それはしつかりとわたしにわたしみづからを与へてくれる。
 
わたしは感覚する、萌しが熟し、
 
そして予感が光に満ちて織りなすのを。
 
内において、己れの力として。
 
          
 
Ich fuhle fruchtend fremde Macht      
Sich starkend mir mich selbst verleihn,    
Den Keim empfind ich reifend        
Und Ahnung lichtvoll weben         
Im Innern an der Selbstheit Macht.     
 
 
 
 
「これまでにない稔りの力」とは。
 

それは、夏、こころにおいて稼がれた、新しい感じ方、考へ方、ものの捉へ方を、その後何度も繰り返し自分自身に引き続き、問ふて、問ふて、問ひ続けることから生まれる力のことである。
 

夏は、豊かな自然の輝きが人に語りかけてくるときであつたし、人と人とが出会ひ、交はる季節だつた。
 

しかし、そのやうに外の世が輝いてゐるとき、人と人とが交はる、そんなときこそ、みづからが孤独であることに思はず出くはしてしまふこともあるのではないだらうか。
 

みづからが孤独であることに出くはして、初めて人は孤独であることの意味を見いださうと葛藤し始める。
 

そして葛藤するといふことは、「わたしは、いつたい、どのやうに生きていきたいのか」といふ問ひをみづからに問ふといふことでもある。
 

みづからに問ひ続ける。そして答へを探し求める。
 

その自問自答の繰り返しが、何を育てるか。
 

己れみづからに問ひを立てる力を育てるのだ。
 

その「問ひを立てる力」が、「わたしみづからの力」「己れの力」としての「稔りの力」をわたしにもたらしてくれる。
 

ふさはしく問ひを立てることこそが、手前勝手な答へを作りだして満足することへと自分を導くのではなく、精神といふ高い次元に耳を澄ませる力になりゆくからだ。
 

そして、己れが生まれ変はることへの予感が、ゆつくりと、こころの内に光に満ちて織りなしていく。
 

それは、秋といふ季節ならではのこころの織りなしである。
 

そのやうにして、秋とは内なる意識が明るんでいく季節だ。
 

意識が明るむ、とは何とありがたく、幸ひなことだらう。
 
 
 
 
わたしはこれまでにない稔りの力を感じる。 
それはしつかりとわたしにわたしみづからを与へてくれる。 
わたしは感覚する、萌しが熟し、 
そして予感が光に満ちて織りなされるのを。 
内において、己れの力として。
 


posted by koji at 20:42 | 大阪 ☁ | Comment(0) | こころのこよみ(魂の暦) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
■ 新着記事
もののあはれを知る人を育てる教育 〜宮城蔵王 ひのみやこ 主催 日本文化に根ざすシュタイナー教員養成講座〜 (01/12)
こころのこよみ(第40週) (01/10)
わたしたちの縄文文明の甦り 宮城蔵王シュタイナー教員養成講座へのお誘い (01/10)
自然に包まれて (01/09)
無名の美 (01/07)
世は美しい 〜1/29(水)ひのみやこ 教員養成オンライン・プレ講座へのお誘い〜 (01/07)
オンライン説明会&トークライブ&プレ講座のご案内と講師陣ご紹介I〜宮城蔵王 ひのみやこ 主催 第1回 日本文化に根ざすシュタイナー教員養成講座〜 (01/07)
こころのこよみ(第39週) (01/03)
シュタイナーのクリスマス論 (12/31)
前田英樹氏の謦咳に接する 〜響き続けてゐるひとつの調べ〜 (12/30)
■ カテゴリ
クリックすると一覧が表示されます。
ことばづくり(言語造形)(242)
アントロポゾフィー(180)
断想(569)
講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告(452)
こころのこよみ(魂の暦)(484)
動画(318)
農のいとなみ(1)
うたの學び(88)
神の社を訪ねて(37)
アントロポゾフィーハウス(92)
声の贈りもの(5)
読書ノート(71)
絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真(41)
ことばと子どもの育ち(13)
「ことよさしの会」〜言語造形に取り組む仲間たち〜(11)
■ 最近のコメント
待ち望まれてゐることばの靈(ひ)〜「こころのこよみ」オンラインクラスのご案内〜 by 諏訪耕志 (04/03)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 by (04/09)
12/10(土・夜)12/11(日・朝)オンライン講座「星の銀貨」を通して〜人への無理解と憎しみについて〜 by アントロポゾフィーハウス (12/07)
穏やかで安らかなこころを持ち続けること、しかし、目覚めること by 諏訪耕志 (04/23)
教育の根本 by 諏訪耕志 (06/21)
■ 記事検索
 
RDF Site Summary
RSS 2.0