2021年06月10日

彩りを味はふ



IMGP0002 (1).JPG



人は、北へ向かふとき、精神の緊張に向かふ。


南に向かふとき、精神の弛緩、リラクゼーションに戻る。


いや、そんなことはないよ、と思ふ方もゐるだらう。


しかし、日本においては、昔の人は、特に、西南の人は、さう、感じてゐたやうです。


松尾芭蕉も、精神の緊張を追ひ求めるがごとく、江戸を発ち、東北への奥の細道を歩き、また、母なる地、生まれ故郷である西南の地、近畿へと戻る、そんな旅をみづからに課しました。


イギリスなどでも、例へばスコットランドに向かふことは、日本における東北地方にこころを向けることに似てゐるのだらうか。どうだらうか・・・。


現代においては、北へ行つても、南へ行つても、街だとどこも同じ風景、同じ文化に埋め尽くされてゐる感がありますが、やはり、少し街から離れると、そこには、いまだ、その土地ならではの独自の濃厚な色があるやうに思ひました。


そして、このたび、東北へ旅して、静かだけれども深く思つたことは、意識的に、東西南北、ゆく道、帰る道、それぞれの趣きの違ひに目覚めること、それが、現代人のわたしたちにとつて、たいせつなことではないか、といふことでした。


グローバリズムといふ名の画一性、均一性、全体主義が蔓延らうとしてゐる今、独自性に満ちた、彩りの豊かさを、わたしたちひとりひとりが、みづから、意識し、生み出し、創り出して行く。


その土地、その場、そのとき、その人の、独自性を尊ぶことは、わたし自身を尊ぶことへと深いところで繋がつてゐるのですね。


世を知りたければ、あなたみづからをみよ。あなたみづからを知りたければ、世をみよ。


多面的に生きることが、確固たるものを育てる。


ひとりを生きることが、世の彩りの豊かさを味はふことへと繰りなしてゆく。


こころを破壊しようとする悪しき力が働いてゐる、今、わたしたちは、こころを守り、育ててゆかうとする精神の力を、世に贈らうとする者です。




posted by koji at 08:21 | 大阪 ☀ | Comment(0) | 断想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
■ 新着記事
『小学生は情を育てる』 シュタイナー教育 (01/09)
本日1.8.(木)からの「いかにして人が高い世を知るにいたるか」オンラインクラス (01/08)
ご感想『京都公演 宮沢賢治の世界』 (01/05)
日本語でものを考えるということ (01/02)
シュタイナーの内的レッスン論『はじめにことばありき』  (01/02)
2026.1.8.(木)からの「いかにして人が高い世を知るにいたるか」オンラインクラス (01/02)
おお 盲(めし)いしこころよ(『死者の書』より) (12/31)
昔話「笠地蔵」・・年の終はりと始まりのしづかさ・・ことばづくり  (12/31)
シュタイナーの祝祭論 聖き夜 クリスマスと新嘗祭 (12/24)
一千年前の和歌を味わうことができる日本文化 (12/23)
■ カテゴリ
クリックすると一覧が表示されます。
ことばづくり(言語造形)(250)
アントロポゾフィー(190)
断想(583)
講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告(470)
こころのこよみ(魂の暦)(521)
動画(364)
農のいとなみ(1)
うたの學び(92)
神の社を訪ねて(37)
アントロポゾフィーハウス(92)
声の贈りもの(5)
読書ノート(73)
絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真(41)
ことばと子どもの育ち(13)
「ことよさしの会」〜言語造形に取り組む仲間たち〜(11)
■ 最近のコメント
5/7(水)からのシュタイナー著「いかにして人が高い世を知るにいたるか」毎週水曜日夜オンラインクラスへのご案内 by 諏訪耕志 (04/11)
待ち望まれてゐることばの靈(ひ)〜「こころのこよみ」オンラインクラスのご案内〜 by 諏訪耕志 (04/03)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 by (04/09)
12/10(土・夜)12/11(日・朝)オンライン講座「星の銀貨」を通して〜人への無理解と憎しみについて〜 by アントロポゾフィーハウス (12/07)
穏やかで安らかなこころを持ち続けること、しかし、目覚めること by 諏訪耕志 (04/23)
■ 記事検索
 
RDF Site Summary
RSS 2.0