秋の舞台公演に向かつて、また、作品の一語一語、一文一文、一頁一頁、大声で叫びながら憶え込んでゆく。
さうすることで、こころのしみつたれた情などは、吹き飛んでゆきます。
ああ、芸術が、この世にあつてくれることは、なんて、なんて、ありがたいことなんだらう。
「明日、世が滅びるとしても、わたしは、りんごの木の種を植ゑます」といつた人のこころもちが、少し分かるやうな気がするのです。
何かを創ること、芸術創造に取り組むことを通して、精神の世から光と熱と力をいただかないことには、わたしはやつていくことができないと感じます。
人の別の名前を「芸術」と言つてもいいのではないかと思ひます。
この世に何かを産み出すこと、それは、〈わたし〉を産み出すことであり、〈わたし〉を知ることです。
その〈わたし〉は、高い自然です。
その〈わたし〉は、この世のあとにも、引き続きます。
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