
ルオー『ピエロ』
意識を持つ者にとつて、「ある」とは「なりゆく」ことであり、「なりゆく」とは「変はりゆく」ことであり、「変はりゆく」とは「稔りゆく」ことであり、「稔りゆく」とは「みづからを限りなく創りゆく」ことである。このことばは、昔どこかで読んだフランスの哲学者ベルクソンの書いたものだつたと思ひます。
「ある」「なる」「変はる」「稔る」「創る」といふこれらのことばは、ひとつの道の上にあり、その道は季節の巡りのやうにぐるぐると螺旋状に回りながら上昇していくやうです。
そして、その螺旋の道を超えて遥か遠くに、静かに鳴り響いてゐる、まうひとつのことばがかすかに聴こえるのです。
・・・「捧げる」・・・。