

オイリュトミストの越中奉さんと共に、先日、岩手県金ヶ崎にあるシュタイナー学校「ちっちゃな学校 りんごのまんなか*夢の種」にお邪魔しました。
いくつもの神社に囲まれるやうにして、農村地帯の真ん中にある小さな学校。
わたしも昔話を語らせてもらひ、本当に息を思ひつ切り吸つたり吐いたりしながら、子どもたちのこころと触れあひ、手取り足取り一緒に遊ばせてもらひました。

そこに子どもたちを連れてお母さんたちも集まつて来られます。たつたおひとりで働いてをられる教師の及川弘子さんとも様々なお話を交はすことができたのです。及川さんは、子どもと共に「考へる」ことの美しさ、楽しさを心底追ひ求めてをられる人。
ルドルフ・シュタイナーは、教育そのものは科学であつてはならず、芸術であつていい、あるべきだと言ひました。ここで言はれてゐる芸術とは何でせうか。
昨日、おひとりのお母さん、そして教師の及川さんと語り合ふ時間を通して、わたしはかう感じさせてもらひました。
芸術とは、人と人とが再び信頼し合ふことを学ぶ営みである。芸術とは、人が世を信頼することを学ぶ営みである。芸術とは、人が神を信頼することを学ぶ営みである。そして、芸術とは、己れのことを信頼することを学ぶ営みである。
その学びを通して、肉体を持つわたしたちは、精神に触れる修練、精神に通はれる修練を数多く重ね、「聴く」ことができるやうになつて来る。
何を聴くのか。
人のこころ、子どものこころ、己れのこころを聴く。人のこころ、子どものこころ、己れのこころの囁きを聴く。嘆きを聴く。さうして、精神を聴く。精神は常に、いつも、何かを語つてくれてゐる。そのことばに耳を澄ます修練。
その修練を積み合ふ者同士が集ふことの貴重さ、かけがへのなさ。子どもたちをそんな場所で育て合つて行かないか。
そんな人との出会ひに満ち溢れた一日でした。ありがたさにこころ暖められる一日でした。


※「りんごのまんなか*夢の種」来年2021年1月4日から一週間、越中奉さんによるオイリュトミー連続講座がここであります!
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