
シュタイナーによる、
この『Anthroposophischer Seelenkalender』を、
本当に拙いながらも『こころのこよみ』として、
日本語に訳し、
声に出しながら、時にこころの深みに沈めながら、
一文一文、一語一語、一音一音、
味はひつつ一年を辿つてゐる。
こよみとは、
「事(こと)をよむ」ことであり、
「言(ことば)をよむ」ことであり、
「心(こころ)をよむ」こと。
『こよみ』に刻み付けられてゐることばを通して、
自然のリズム、「年といふもののいのち」を
共に感じ、生きる。
その芸術的であり、瞑想的でもある行為を
生活に根付かせていくことで、
だんだんとこころにハーモニーが育ち、
健やかさと安らかさと確かさを実感できるやうになつてくる。
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それは、やはりありがたいことだ。
そして、その毎日の行為は、
頭で考へるこれまでのありやうから、
心臓で考へる新しいありやうへと、
みづからを育て上げていく道でもある。
頭でなく、心臓で考へるのだ!
血の暖かさに満ちた、
情のたつぷりと通ふ考へを人は持つやうになる。
そして、わたしは、
この地球の上にひとりの人として立つ。
『こころのこよみ』の発刊が、
アントロポゾフィー協会の創設と時を同じくしてゐること。
(1913年)
またその十年後に、
『四つの世のイマジネーションにより四季を共に生きる』
といふ講演がなされ、
一年の巡りを意識的に生きることで、
精神の善き位にある方々を意識し、
その方々と共に働いていくことが、
本当に大事なことなのだ、
さうシュタイナーが訴へたのは、
新しい普遍アントロポゾフィー協会の創設(1923年)に向けてのことだつた。
「年のいのちを生きる」といふことと、
アントロポゾフィー協会の創設といふこととが、
時を同じくしてゐること、
それは偶然ではない。
(ヨハネス・キュール氏による2006年度、
普遍アントロポゾフィー協会の年次テーマより)
いま、時代の要請から、
目に見える外的な行為を
ひとりひとりが己れの分に応じてなしていく必要があるのは
言を俟たない。
しかし、わたしは、まづは、
アントロポゾフィーが示唆してくれてゐる、
地球と共に感じ、大いなる世とともに心臓で考へる、
精神の世の方々との共同作業を育んでいく、
そのやうな内なる道を真摯に捉へ、
その内なる練習を生活の中でしていくことの重要性を念ふ。
内(目にみえないところ)こそが変へられる。
そこからこそ、
外(目に見えるところ)が変はつていく。
その確かな道を、示してゐるのが、
アントロポゾフィーだ。
わたしたち日本人は、
昔からのことばの芸術、
和歌や俳句などを通して、
ことばの美を通して、
四季の巡りを生きるこころの感覚を、
年のいのちを生きる精神の感覚を、
ひたすらに培つてきた民族。
この感覚をこれからは、
意識的に培ひ始めていかう。
(終はり)
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