
1913年に、ルドルフ・シュタイナーは、
『こころのこよみ
(Anthroposophischer Seelenkalender)』
を出版した。
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テオゾフィー協会を出て、
新しくアントロポゾフィー協会を創立した、
同じ年に。
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わたしは、この『こころのこよみ』に魅力を感じ、
その内容に取り組み続けてゐる。
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はじめは、一週一週のこよみの味はひと意味を
そこはかとなく感じてゐるに過ぎなかつた。
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しかし、一年、また、一年、と時を重ねていくにつれ、
序文の中の「年といふものに、いのちがある」といふ、
シュタイナーのことばに感じ入るやうになつた。
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随分と、ここに記されてゐる毎週のことばに、
感じ入るやうになつた。
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年といふものに、いのちがある。
時間といふものに、いのちがある。
四季の巡りを通して、
その「いのち」を生きることのできる喜びを
感じ始めたのだ。
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「年といふもののいのち」とは、なんだらう。
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一年といふ周期は、
地球と太陽との関係で定まつてゐて、
この地球は、太陽に見守られながら、
「お天道様に見守られながら」
毎年規則正しくその動きを営んでゐる。
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シュタイナーは感官を凌ぐ意識をもつて、
そのことをさらに次のやうに捉えてゐる。
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人と同じやうに、
地球は、その球形の物質的な「からだ」だけでなく、
みづからのこころをもつてゐる。
みづからのいのちを営んでゐる。
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そして、人と同じやうに、
精神に憧れ、
精神を宿さうとすべく、
一年一年を生きてゐる。
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地球は、太陽とのかかはりの中で、
一年ごとに大きな呼吸のプロセスを営んでゐる。
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その地球のプロセスとは、春から夏にかけて、
みづからのこころを、
大いなる世、精神の世に向かつて、
息を吐き出すかのやうに、拡げていく。
それに応じて、
植物は太陽に向かつて長け始め、
花を咲かせ、緑と様々な色で地球を彩る。
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そして、地球は、夏の間、
大いなる世・宇宙に拡がり、
そこで受け取つた精神の叡智に満たされたこころを、
秋から冬にかけて、息を吸い込むかのやうに、
みづからのからだの内に納めていく。
それに応じて、
地球上の植物は枯れ始め、
彩りを失つていく。
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そのやうに、四季の巡りを通して地球は、
大きな呼吸プロセスを営んでゐる。
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「年といふもののいのち」とは、なんだらうといふ問ひ。
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年とは時間の一区切りでありながら、
そこに呼吸がある。
息遣ひがある。
その伸縮、開閉、交錯を促しつつ、
リズミカルに脈打ついのちがある。
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(つづく)
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