
ことばには、光が潜んでゐます。
色彩として顕れ、
そして、詩には音楽が密かに響いてゐます。
その光と楽の音をこそ引き上げたくて、
言語造形といふ芸術に携わつてゐます。
今日も、再開したクラスで、
その光と音楽を感覚する喜びを
味はふことができたのでした。
ずつと我が仕事場・アトリエである、
「ことばの家」では、
様々な人によつて、
様々な作品から、
光と音楽が生みなされてきました。
その精神で、
「ことばの家」は営まれてきました。
「ことばの家」とは「神が語る家」であるといふ、
ルドルフ・シュタイナーのことばに、
どこまでも支へられてゐるからです。
第一ゲーテアヌム建築中の、
106年前の今日、
1914年6月17日にドルナッハの丘の上で響いた、
彼のことばから、いまも、
わたしの胸の内にその精神が、
泉のやうにこんこんと湧き上がつてきます。
―――――――
(要約)
人びとは口から耳へと伝へられるものが、
平和と調和を作り出せると本当に信じてゐます。
しかし、平和、調和、人が人としてあるありやうは、
神々がわたしたちに語りかけるとき、
初めて生まれるのです。
このゲーテアヌムの壁、
そして窓に施される芸術的なフォルムによつて、
神々はわたしたちに語りかけてきます。
フィジカルな壁は生きてゐませんが、
エーテルの、精神の、壁は、生きて動くものなのです。
地球の大地がその懐から植物たちを生み出すやうに、
わたしたちが造形する壁のフォルムは
(内において)生きて動くものを生み出します。
わたしたちの建築は、そのフォルムによつて、
きつと、神々のことばを語り始めます。
植物のエーテルのフォルムに耳を傾け、
それらをわたしたちの壁のフォルムによつて
創らうではありませんか。
自然に潜む神々が、人に、語る喉頭を創つたやうに、
わたしたちは、芸術によって、
神々が語りかける喉頭を創るのです。
わたしたちは、
これらのフォルムが
何を意味するのかを解釈するのではなく、
心臓で聴くかのやうに、
神々のことば、精神のことばを分からうとします。
その分かる力を育むこと、
それがわたしたちのなすべきことです。
このやうに、
精神への道を見いださうといふ聖きこころもちが、
この仕事場に満ちますやうに。
仕事場とは、きつと、人がその精神を愛の内に見いだし、
平和と調和を地上に拡げていくやうな
精神への道を見いだす場です。
真の芸術への、真の精神への、
そしてすべての人への愛をもって、
「ことばの家」「神が語る家」を建てようではありませんか。
(1914年6月17日 ドルナッハ)
―――――――
本当に、このことばに尽きます。
そして、この精神があるところならどの場所も、
「ことばの家」「ことばの宮」「ことばの社」
になりえます。
このシュタイナーのことばに何かを感じる方は、
この世のどこかにをられるはずだ、
さう信じてゐるのです。
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