
堺の宿院の上空
夏の高みへと
太陽が、輝くものが、のぼる。
それはわたしの人としての情を連れゆく、
広やかなところへと。
予感しつつ、内にて動く、
感覚。おぼろにわたしに知らせつつ。
あなたはいつか知るだらう、
「神なるものが、今、あなたを感じてゐる」
Zu sommerlichen Höhen
Erhebt der Sonne leuchtend Wesen sich;
Es nimmt mein menschlich Fühlen
In seine Raumesweiten mit.
Erahnend regt im Innern sich
Empfindung, dumpf mir kündend,
Erkennen wirst du einst:
Dich fühlte jetzt ein Gotteswesen.
これから来たる夏の太陽の光と熱によつて、
植物の緑が、花のとりどりの色となつて、
上へ上へと燃え上がる。
鳥たちが、虫たちが、
いよいよ高らかに、軽やかに、
夏の青空の高みに向かつて、鳴き声を響かせ、
大いなる世、宇宙にその響きが拡がつていく。
太陽によつて引き起こされる、
そんな植物と動物たちの働きが、
夏の空気に働きかけてゐるのを、
わたしたちは感じることができるだらうか。
もし、さういふことごとを人が感じつつ、
来たる夏を生きることができるならば、
みづからの、人ならではのところ、
人であること、わたしであることもが、
ここよりも、さらに、高いところに、
さらに広やかなところにのぼりゆき、
天によつて見守られることを、
情として感じることができるだらうか。
「お天道様が見てゐるよ」
幼い頃、このことばを親たちからよく聞いた。
おそらく、そのことばは、古来、
日本人がずつと我が子どもたちに
言ひ伝へてきたものだらう。
「お天道様」それは、太陽の神様であり、
わたしたちに警告を発しつつ、
わたしたちを見守つてゐる存在として、
常に高みにあるものとして
感じてゐたものだつたのだらう。
そして、いま、わたしたちは、
その「お天道様」を、人の人たるところ、
<わたし>であるところとして、
感じてゐるのではないだらうか。
「神なるものが、いま、あなたを感じてゐる」とは、
「高い<わたし>こそが、
いま、低い、普段の、わたしを見守つてくれてゐる」
「お天道様が、いま、あなたを見てゐる」
といふことかもしれない。
天照大御神のみことば。
「これの鏡はもはら我(わ)が御魂として
吾(あ)が前を拝(いつ)くがごと拝き奉れ」
わたしたちは、
自分自身のこれまでの見方や感じ方や考へ方から離れて、
改めて、この季節だからこそ、
「お天道様」に見守られてゐることを感じ、
「お天道様」からの視点、
「おのづから」なありかたで、
生きていくことができるだらうか。
見る眼を磨き、耳を澄ますなら、
きつと、予感と感覚が、教へてくれるだらう。
夏の高みへと
太陽が、輝くものが、のぼる。
それはわたしの人としての情を連れゆく、
広やかなところへと。
予感しつつ、内にて動く、
感覚。おぼろにわたしに知らせつつ。
あなたはいつか知るだらう、
「神なるものが、今、あなたを感じてゐる」
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