2020年02月28日

戸嶋靖昌記念館にて



img05.png



東京の半蔵門にある、
戸嶋靖昌記念館を訪れました。
http://shigyo-sosyu.jp/toshima/index.html
 
 
この美術館を開いた執行草舟氏の著書をこよなく
愛読し、熟読し、精読するわたしにとつて、
ここを訪れることは、数年来の念願でした。
 
 
初めて戸嶋の絵を観るわたしに、
主席学芸員の安倍三崎さん、坂田さんが、
勿体ないほどのまことに暖かい対応をして下さり、
ていねいでこころの籠もつたお話をして下さいました。
 
 
「おもてなし」といふ、
昔から日本人が大切にしてきた行ひの恩恵に、
わたしは触れ、浴させていただいたのです。
 
 
戸嶋の絵の前に立ち、
わたしは「これが絵だ」といふ、
身も蓋もない言ひ方しかできないやうな、
烈しく強い振動と、
奥行きへと引き摺り込まれるやうな運動を感じ、
それは、
絵といふ芸術でのみ感じるものでありました。
 
 
そして、思ひもかけず、
執行氏の書斎でもある社長室へ
招き入れていただいたのでした。
 
 
執行氏はまだ出社されてゐなかつたのですが、
そこに満ち満ちてゐる渦巻きのやうな精神が、
部屋の隅々に、
膨大な本の背表紙といふ背表紙に、
ぶち当たつては還流してゐるのでした。
 
 
精神の労働のための工房の只中にゐるやうな、
興奮と感激がわたしを打つのです。
 
 
執行氏御本人がゐらつしゃらなくて、
よかつたと思ひました。
 
 
また、執行氏の文業から感じてゐた精神が、
案内をして下さつたお二方の
ことばの端々、隅々に満ちてゐるのです。
 
 
死を見据えるひとりひとりの人が、
どうひとつひとつの仕事と向き合ひ、
どうひとりひとりの人と向き合ひ、
どうひとつひとつの芸術作品と向き合ふのか。
 
 
おそらく、社員の方々、皆、
そのことの実行に、
体当たりで毎日を費やされてをられます。 
 
 
その姿を目の当たりにし、
わたしはこの記念館(企業体)は、
現代における「奇跡」だ、
そんな念ひで千鳥ヶ淵の帰り道を歩きました。
 
 
IMG_20200228_0002.jpg
執行草舟氏の社長室にて。三島由紀夫自筆の額の前。





posted by koji at 22:32 | 大阪 ☁ | Comment(0) | 絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
■ 新着記事
ひのみやこ 主催 第1回 日本文化に根ざすシュタイナー教員養成講座 講師陣ご紹介@ (10/09)
日本文化に根差す第1回シュタイナー教員養成講座 in 宮城県蔵王町 ひのみやこ主催 (10/07)
こころのこよみ(第27週) (10/04)
理想をことばに鋳直すお祭り ミカエルのお祭り (09/29)
こころのこよみ(第26週) ミカエルの祭りの調べ (09/28)
大阪帝塚山「ことばの家」さよならパーティー (09/27)
エーテルの世を描いている古事記 (09/24)
頭で考へることをやめ 胸のチャクラからの流れに委ねる (09/23)
命綱としての文学 (09/22)
和歌山岩出 アントロポゾフィーとことばづくりの学び (09/17)
■ カテゴリ
クリックすると一覧が表示されます。
ことばづくり(言語造形)(236)
アントロポゾフィー(180)
断想(563)
講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告(440)
動画(311)
アントロポゾフィーハウス(92)
声の贈りもの(5)
うたの學び(88)
神の社を訪ねて(37)
こころのこよみ(魂の暦)(471)
読書ノート(71)
絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真(40)
ことばと子どもの育ち(13)
「ことよさしの会」〜言語造形に取り組む仲間たち〜(11)
わたしの来し方、行く末(3)
■ 最近のコメント
待ち望まれてゐることばの靈(ひ)〜「こころのこよみ」オンラインクラスのご案内〜 by 諏訪耕志 (04/03)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 by (04/09)
12/10(土・夜)12/11(日・朝)オンライン講座「星の銀貨」を通して〜人への無理解と憎しみについて〜 by アントロポゾフィーハウス (12/07)
穏やかで安らかなこころを持ち続けること、しかし、目覚めること by 諏訪耕志 (04/23)
教育の根本 by 諏訪耕志 (06/21)
■ 記事検索
 
RDF Site Summary
RSS 2.0