自分が夜見た夢を想ひ起こす。
本番に近くなり、
そんな練習をわたしたち舞台に立つ者はします。
それは、表の練習といふよりも、
裏の練習・密の練習と言つてもいいかもしれません。
夢の中で、
あの人はこんな表情をして、
わたしを見つめた・・・。
あの人はこんな風に背中を向けて、
向かうへと去つて行つた・・・。
こんな風に扉が閉まり、
わたしは家の外に締め出されてしまつた・・・。
たとへばそのやうに、
夢の中に起こつたできごとを、
目覚めた今、追ひかけ、辿つてゆく。
その作業は、
わたしたち舞台に立つ者の身の振る舞ひを、
芸術的にします。
夢を生きる。
それは、芸術を芸術的に生きるといふことです。
夢、
それはなかば目覚めつつ、
なかば眠りつつの世です。
それは、情の世でもあります。
だから、目覚めてゐるときでも、
虹の七色を大空に見たり、
風のそよぎを頬に感じたり、
道端に咲く花びらにこころを注いだり、
雷鳴轟く響きに身を震はせたりするとき、
つまり自然の営みを感覚するとき、
わたしたちは、
その自然が送つてよこす情を、
注意深く生きること。
それが、
芸術をする人にとつての深い養ひになります。
言語造形劇『 をとめ と つるぎ 』
大阪公演3月28日(土)
東京公演3月29日(日)
【ことばづくり(言語造形)の最新記事】
- ことばのひ 京都南丹でのことばづくり
- ありありとあるものに触れる喜びをはっきり..
- 家庭教育の基 百人一首
- きららの森サマースクールでのことばづくり..
- ことばづくり(言語造形)という芸術の必要..
- 京田辺シュタイナー学校でのことばづくり(..
- 味わい深いひとときの積み重ね
- こころよろこぶ 「ことばのひ」 in 青..
- かたちづくられる人
- 靈(ひ)の学びと言語造形
- 言語の音楽性
- 教員養成の要としてのことばの修練
- おほもとの詩芸術を統べる道筋 マリー・..
- 己れの声を聴きながら
- 幼な子の欲することば 〜グリム童話「へん..
- 日本古典文学を奏でる人
- 言語造形といふ大なる願ひ
- タイパよ、消え去り給へ
- 七年生たちとの狂言の舞台づくり シュタイ..
- こころを謳ひ上げる いのちを解き放つ 言..