基本練習といふものが、
言語造形にもあります。
その練習を積み重ねることによつて、
型をからだに叩き込むのです。
知性で捉えられた知識は、
芸術においては頼りにならないもので、
なにほどのものでもありませんが、
からだに叩き込まれた型は、
その人を根底から支へます。
型とは、
その芸術に固有の法則から生まれてゐます。
自然のものすべてに法則があるやうに、
ことばといふものにも法則があるのです。
ことばは人間が作つたものではなく、
神が造られたものだからです。
自然のものだからです。
その法則を知識としてではなく、
繰り返し、繰り返し、
練習といふ実践を通して、
からだまるごとで、
ことばの法則に則つてゆくのです。
昔、あるオイリュトミストが、
わたしに言つたことがあります。
「練習はあまり必要ありません。
むしろ、意識の持ち方が大事。
いまは、意識魂の時代だから」
わたしは、その方には申し上げませんでしたが、
それは絶対に違ふと思ひました。
意識などは、すぐに変へられる。
しかし、その変へられた意識は、
ふたたび、また、元の木阿弥に返つてしまふのだ。
元の木阿弥に返つて、
お馴染みのやり方、あり方になつてしまふのが、
人のからだだ。
人は、繰り返し練習を重ねること以外には、
己れみづからのからだを通しての技量を
めていくことは決してできません。
からだとは、それほどに、
手のかかるものであります。
また、その繰り返しの練習から、
身に叩き込まれた型があるからこそ、
逆に、その人からしか生まれない、
個性的なものが生み出されます。
しかし、この個性は、
長い時間の中でこそ生まれて来るものです。
十年、二十年、三十年・・・
限りはありませんが、
そのやうな長い時間を通して、
培はれた基礎がものを言ひます。
わたしも、
不遜に聴こゑるのを恐れるのですが、
基礎練習を重ねつつ、
これからどういふものが、
この身から生まれて来るのかと、
気を引き締めてゐます。
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