今日は、
昔話「笠地蔵」を子どもたちに語りました。
このお話をしてみて、
これは日本の昔話の中でも、
本当のまごころと神秘を伝へる、
屈指の国語芸術だと思はざるをえません。
町に出て笠が売れないといふことが、
生きることの苦しみを、
どれほど子どもたちに予感させるか。
そして、売れなかつた笠を
お地蔵様にかぶせて家に帰ってきた爺様を、
「それはよいことをしなさつたなあ」
と言つて迎へる婆様。
きつと、日本人が何百年にも何千年にも渡つて、
「人はこんなにも美しいこころを持つてゐるのだ」
といふことを静かに感じ続けてきたお話です。
そして、
一年の終はりに捧げられる神仏への思ひ。
一年の初めに甦る太陽の神からの恵み。
そんなお話が終はつた時の静寂の深さ。
年の終はりと始まりに、
いまもなくてはならない、
幼な子たちとのかけがへのない時間です。