2019年05月14日

古さを慕ふ


BPBBaAlED5bRbSMGJrRPTyW1BGIFKbygLdbGoKkTYpYVVSXoJGnFSC9UA70OmreH.jpg

 

芸術において、自分自身を解放する、自分自身をみつめる、そのことの素晴らしさ、尊さ。
 
そして、つひには、芸術とは、「道」であることに気づくことの、妙なること。

そのことに、気づくことは、芸術が自己実現を促すことといふよりも、「道」そのものを尊び、存続させていくことに、人の務めがあることに気づくことでもあるでせう。

とりわけ、日本に於いて芸術とは、そもそも、すべて「道」です。

「道」とは、人がゆくところ、人が己れの足を動かせて歩くところです。
 
さう言へば、わたしがまだ若くて、随分精神的にも未熟だつた頃、フォルメン線描といふ、シュタイナー芸術のレッスンに出た時、わたしが、今から思えば非常に「つまらない」質問を先生にしたことを想ひ出します。
 
すると先生は、「づべこべ言はずに、手を動かせ」と厳しくわたしに言ひました。
 
まだ三十代前半の若い女の先生でしたが、なぜだか、すぐにわたしは羞恥心と共に、「これは、道なのだ」と直感しました。
 
わたしは、日本人のさういふ先生に教へてもらへたことを幸運に思ひます。
 
言語造形も、「道」です。
 
ことばの発声に取り組めば取り組むほど、ことばそのものの秘密、それを発声してゐる人の秘密、そのことばによつて描かれようとしてゐるものごとの秘密を、だんだんと明かすやうになる。
 
ことばとは、まさしく神から人だけに与へられてゐる「自然」です。

ことばは、己れの「自然」を、人によつて、解き明かされたがつてゐます。
 
人によつて、造形されたがつてゐます。
  
その「自然」の秘密を解き明かしていく「道」をしつかりと歩いて行くための稽古を毎日続けていくこと。
 
そして、その「道」を求める人にここにもひとつの「道」があることをお伝へすること。
 
それが、わたし自身にことよさしされてゐることだと改めて念ひます。





posted by koji at 08:26 | 大阪 ☁ | Comment(0) | ことばづくり(言語造形) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
■ 新着記事
ことばが甦るとき 〜甦りの祭り(復活祭)の日にちなんで〜 (04/20)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 (04/20)
鏡像 (04/18)
4/20(日)復活祭からの「こころのこよみ」オンラインクラス (04/14)
学んだことは忘れていい (04/13)
こころのこよみ(第52週) (04/11)
毎週月曜夜のオンライン読書会『シュタイナー 子どもの教育』へのご案内 (04/09)
祈り (04/09)
これから子どもたちと創ってゆきたい国語の時間 (04/09)
5/7(水)からのシュタイナー著「いかにして人が高い世を知るにいたるか」毎週水曜日夜オンラインクラスへのご案内 (04/03)
■ カテゴリ
クリックすると一覧が表示されます。
ことばづくり(言語造形)(244)
アントロポゾフィー(181)
断想(572)
講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告(459)
こころのこよみ(魂の暦)(497)
動画(333)
農のいとなみ(1)
うたの學び(88)
神の社を訪ねて(37)
アントロポゾフィーハウス(92)
声の贈りもの(5)
読書ノート(71)
絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真(41)
ことばと子どもの育ち(13)
「ことよさしの会」〜言語造形に取り組む仲間たち〜(11)
■ 最近のコメント
5/7(水)からのシュタイナー著「いかにして人が高い世を知るにいたるか」毎週水曜日夜オンラインクラスへのご案内 by 諏訪耕志 (04/11)
待ち望まれてゐることばの靈(ひ)〜「こころのこよみ」オンラインクラスのご案内〜 by 諏訪耕志 (04/03)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 by (04/09)
12/10(土・夜)12/11(日・朝)オンライン講座「星の銀貨」を通して〜人への無理解と憎しみについて〜 by アントロポゾフィーハウス (12/07)
穏やかで安らかなこころを持ち続けること、しかし、目覚めること by 諏訪耕志 (04/23)
■ 記事検索
 
RDF Site Summary
RSS 2.0