霊の力ある土を採り、神に捧げる器を作る。
それは、その土あるところの土地をしろしめすことでもありました。
それは天つ神の子孫である倭朝廷・皇室にとつては、抵抗勢力であつたその土地その土地にゐる地祇(くにつかみ)系の豪族たちをしろしめすことでもありました。
大阪の「住吉大社」は毎年、祈年祭・新嘗祭の前に、奈良県にある畝傍山 (うねびやま) の埴土 (はにつち) を採って くる神事を、古来行つてゐます。
その伝統的行事が、住吉大社が皇室の神事に仕へてゐたことをいまも示してゐるやうです。
その埴使(はにつかひ)が畝傍山の頂上にて埴土を採る前に、祓ひを受け、禊ぎをし、神饌、祝詞を捧げ、玉串を奉り、拝礼をする神社があり、一つ目の神社が、清流曾我川の畔にある雲名梯(うなで)神社で、二つ目が橿原神宮に隣する畝傍山の西の麓にある畝傍山口(うねびやまぐち)神社。
昨日、林芳江さんに、二つ目の畝傍山口神社に連れて行つていただきました。
その神社、所在地が分かりにくく、なかなか辿り着けないでいたところ、ひとりのをじさんが現れ、その神社まで連れて行つて下さいました。その方の笑顔が、なぜか、とても印象に残つてゐるのは、不思議です。わたしたちにとつては、まるで、塩土老翁(しほつちのをじ)が現れてくださつたやうでした。ちなみに、神武天皇が天の香具山に埴土を採りに行かせた者は、椎根津彦(しひねつひこ)でありました。導く人です。
その神社には、神功皇后と表筒男命、そして豊受比賣命がお祀りされてゐます。
すなはち、住吉大社の二柱の神々がお祀りされてゐるのです。
その神社独特のすがすがしさ。
さきほど書いたをじさん、そしてここへ連れて来て下さつた林芳江さん、わたしたちにとつては、導きの人であるやうに思へて来るのでした。
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