
『言語造形と演劇芸術』といふルドルフ・シュタイナーによる連続講演録があります。
その本の初版の序として、妻であり、仕事の上でのかけがへのないパートナーでもあつたマリー・シュタイナーが記してゐる「クリエイティブな言語」といふ文章の内容を少しご紹介したいと思ひます。(言語造形家 鈴木一博さん訳)
彼女は、ルドルフ・シュタイナーの最も近くにゐながら仕事を共にした人であり、言語造形といふことばの芸術をルドルフと共に産みだした人です。
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●言語に於いて人が人の神々しいところをつかむ。音韻がクリエイティブな力であり、人を人のみなもとに結び、人が精神への道をふたたび見いだすに任せる。音韻によつて人が動物の上に上がり、探りながらでみづからの<わたし>に立ちかへる。
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言語とは、ことばとは、一体、何でせう。
印刷された文字のことではなく、音声として空気の中に響くとき、ことばは、そもそも、人を精神に繋ぐよりどころであります。
人がことばを話すとき、その人その人の声の響きに顕れるその人のこころと精神。
人は、そもそも、己れの精神からことばを発することができるといふこと。
人は、そもそも、ことばの精神に助けてもらふことで、初めて活き活きと話すことができるといふこと。
もし、声を発してことばを話すことを芸術的に学び始めたなら、人は予感するかもしれません。
これは、わたしが、これまでの人生とは全く違つて、どんどんクリエイティブになつて行く道だと。
勇気さへあれば、誰でも、この道を歩き始めることができるのだと。
言語は、神々しいものです。
音韻を追ひつつ、ことばを話すことを学んでいくことは、まさしく自分自身の源に繋がるといふことであり、自分がますます自分自身になつて行くといふことであり、動物的なこれまでのあり方から、ますます、人になりゆく道であるといふことです。
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