今日、12月23日は、今上陛下としての最後の御生誕記念日。その御会見を拝見する。
先の大戦のとき、多くの若者が命を投げ出して国を守り、それ以来七十年以上の間、この国が戦禍に巻き込まれなかつたこと。
天災時に多くの国民の精神が崩れず、己れを顧みることなく他者のことを気にかける人たちがたくさんゐたこと。
一国民であられた美智子様が妃殿下となられ、六十年の間、天皇ご自身にだけでなく、先の昭和天皇、すべての国民にこころをこめて尽くしてくれたこと。
これらのことをお語りになるとき、そのお声は震えてをられた。
このやうに真摯で誠実な君主をいただいてゐる国があらうか。
これらすべてのことばの向かう側に、どれほどの複雑な国際関係のやりとりと歴史の重みが横たわつてゐることだらう。
公けにするべきことばのみ、ことばにされ、一切、さかしい言挙げはなされぬ。
お静かで、毅然とされつつ、親しみ深く、慈しみに満ちたおこころが顕れてゐるそのお姿を見て、粛然とする。
大君の みむねのふるえ ともにする
みたみわれなり 月も満ちたり