2018年12月02日

『山月記』公演のご感想


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●高校の教科書で読んだ記憶があります。そのときも、ぐいぐい引き込まれて読み進めたものでしたが、今日は、一語一語が胸に刻印されるようでした。主人公・李徴の悲痛な叫び、思いが、胸をえぐるようでした。言語造形は全存在をもって行うものと日頃、諏訪さんは仰っていますが、今日、得心しました。作家が骨身を削って作りだした世界を、言語造形家は全身全霊をもってもう一度表現するのですね。何十回もの授業に値する今日の公演でした。(m・mさん)

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●本日の公演に参加できて本当によかったです。物語りを目で読んでいるだけでは感じることのできない世界を体感して、よりリアルに『山月記』を理解できたと思いました。クラリネットと語りから伝わってくる主人公・李徴のくやしさと悲しさを体で感じ、私もくやしくて、悲しくて、仕方がありませんでした。また、袁傪がどんなに友を切実に思っていたのかがとても伝わってきました。「この気持は誰にも分からない」ということばを吐く李徴に、「あなたの気持ちを、私は今日、理解できました」とこころから伝えたい気持ちです。(n・yさん)

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●語りにおいても、クラリネットの演奏においても、音の高低の対比がとても印象的でした。クラリネットの演奏で、高きには低きが、低きには高きが、いつも伴って鳴り、それがこの世と幽界、人間の世と動物の世との写し合い、混じり合いを表しているようでした。途中から諏訪さんの姿が虎そのものに見え、獣も木々も自分を理解してくれぬと嘆く場面では、はっきりと、孤高の虎が岩の上で吠える姿が見えました。動物になってゆく諏訪さんの声に対し、千晴さんの声が、袁傪の調和のとれた人の響きを感じさせ、とても心地よかったです。この話に描かれているような病の姿が、語りという公の場に顕されることによって、病でなくなるという感じがしました。(a・tさん)

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●はじめて諏訪さんの語りを、千晴さんとのコラボで、しかも小西さんの音楽と共に聴くことができ、本当に豊かな時間でした。『山月記』のお話はなんとも言えないやるせなさとさみしさを感じさせてこころに残るものでしたが、はじめて音としてそれを聴いて、身体全体が泡立つような感覚をもちました。頭で理解していたことを、身体全体で味わうことができ、忘れられない体験となりました。間(ま)というものの大切さ、そこから情景がうかびあがってくる様を味わえたことも大きなことでした。(o・yさん)

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●クラリネットの音が、上質なミステリーの始まりを予感させて、どきどきしました。お二人の語りの掛け合いが、李徴の身に起こった奇異なことと、悲しみ、後悔、そして、狂気をあぶりだしていく様が、もう、お見事としか言えず、異世界のような、普段とは異なる時間を過ごさせていただきました。ライトに照らされた耕志さんの顔と瞳に、李徴の狂気と悲しみを感じて、とってもカメラのシャッターを押したくなりました。ことばと照明、そしてクラリネットの音だけのシンプルな舞台なのに、なぜ、拡がる世界は深くて豊かなのか、ナゾがひとつ増えました。金曜の夜、大人の上質なミステリーを観させていただきました。(y・mさん)

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●始まって、クラリネットの音、そして、ことばの響きに聴き入るうちに、頭は目覚めているのに、体が眠った状態になっていくのが分かり、不思議な感じでした。そして、わたしの中にもある虎をいろいろ思いました。人間であることとは何なのか、すぐにことばにはできないけれど、たくさん、たくさん感じるものがありました。公演『舟』のときとは全く違って、正反対のような、重く、苦しく、しんどい、でも、胸に響き、考えさせられる物語でした。(t・mさん)

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●『山月記』の中にすっぽりと包まれて、全身でお話を感じました。ある男の悲しい話であり、聴いている間は何度も胸が痛かったのに、聴き終わった今は、人のこころとことばへの感謝の気持ちが湧き上がってきています。そして、クラリネットの音に向き合うことは生まれて初めてでした。全身のすき間から、内に何かが流れ込んでくる感覚が印象的です。両方の耳から入ってくるものは、わたしの内の深いところ、わたしも知らなかったような深いところまで音を運んでくれ、その後、わたしはとても細やかな振動に包まれていました。とても心地よかったです。また、中島敦の作品を聴きたい。(s・yさん)

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皆さん、こころのこもつた文章、どうもありがたうございます。



posted by koji at 15:30 | 大阪 | Comment(0) | 講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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