2018年11月06日

臆病な自尊心 〜大阪・三重 『山月記』公演のお知らせ〜


fullmoon.jpg   

『山月記(中島敦作)』を、11月30日(金)に大阪、12月1日(土)に三重の桔梗が丘で演じます。
 
詩人になれずに虎になつてしまつた男の物語です。
 
虎といふ一匹の獣になつてしまつた理由を彼は自分自身で考へたあげく、それは自分自身の「臆病な自尊心のせいである」と告白してゐます。
 
臆病な自尊心。
 
それは、もしかしたら、多くの男性のなかにあるものかもしれない、さう感じてゐます。
 
「俺は俺だ」といふ思ひ。
 
そしてそれとは裏腹の自信のなさ、自己不信。
 
この両方が、多くの男性のなかで複雑に入り混じつてゐる、そんな風に感じるのですが、いかがでせうか。
 
むしろ、すべての男性のなかにこのふたつの要素(ルーシファーとアーリマン)の混淆があります。
 
ある 男性A は、この両極を行つたり来たりして、その振幅の激しさに自分自身、翻弄されてゐる。
 
ある 男性B は、この両極を両極として捉えつつ、仕事を続けることで、どちらの極にも振り切れない、中庸を見いださうとしてゐる。
 
わたし自身、このAとBの間の無数のバリエーションを生きてゐるやうに思ひます。
 
この物語、臆病な自尊心を多かれ少なかれ持つ、多くの男性の方々に(もちろん、女性の方にも)聴いていただきたい作品です。
 
 
ーーーーーー
 
 
 
「この気持は誰にも分からない。誰にも分からない。」
 
夢や大志を抱く青年が、ひとりの男となる。
 
その長いプロセスには、己れのなかに潜む魔と対峙せずにはおれません。
 
狂気とは、理性を忘れた人が陥るのではありません。
 
理性しか信じられなくなってしまった人に襲いかかってくるものです。
 
男は、一歩間違えば、きっと、化け物になります。
 
これは、詩人になれず、虎になってしまった男の物語りです。

 
ーーーーーー 
 
大阪の阿倍野と、三重の名張にて、中島敦の『山月記』を諏訪耕志と諏訪千晴の言語造形、小西収さんのクラリネット演奏にてお聴きいただきます。
 
夏の『名人伝』に続き、中島敦第二弾です。
 
巨大な才能を包含しつつ、弱冠三十三歳で夭折してしまつた中島敦による、珠玉の小作品。
 
そのことばの芸術が惹き起こす感情のドラマを、どうぞお楽しみください。 
 

●出演:
 
言語造形 
諏訪耕志 https://kotobanoie.net/profile/#suwakoji
諏訪千晴 https://kotobanoie.net/profile/#suwachiharu

クラリネット演奏 
小西収 http://kotobanoie.seesaa.net/article/462402552.html
 
 
 
●大阪公演
 
日時: 平成30年11月30日(金)
17時30分開場 18時開演 20時終演予定
 
場所: 大阪市阿倍野区民センター 集会室1
https://abeno-cc.net/facilities/access_map
 
 
 
●三重公演
 
日時: 平成30年12月1日(土)
15時開場 15時半開演 17時半終演予定
 
場所: 桔梗が丘市民センター 会議室202
https://map.goo.ne.jp/place/24003181284/map/
 
 
 
参加費: ご予約 3000円 当日 3500円
 
 
お問い合わせ・お申し込み(事前お振込制):
以下のページから「ことばの家 諏訪」へご一報の上、ゆうちょ銀行へのお振り込みをお願いいたします。
https://kotobanoie.net/access/
 
◎ゆうちょ銀行  
 記号 10260 番号 28889041 
 諏訪 千晴(スワ チハル)
 
  
 
 

ーーーーーーーーーーーー
ことばの家 クリスマス公演・キリスト生誕劇2018
2018年12月25日(火)17時開演
於 大阪市立阿倍野区民センター小ホール
https://www.facebook.com/events/894100854122598/
 
ーーーーーーーーーーーー
2019年1月開校!
『言語造形と演劇芸術のための学校』
https://kotobanoie.net/school/
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posted by koji at 20:57 | 大阪 ☀ | Comment(0) | 講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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