姫神が鎮まられてゐる社へ通ふ日々が続いてゐます。
大阪市西淀川区にある姫嶋神社。
阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)が御主宰神です。
並んで、神功皇后と住吉大神がお祀りされてゐます。
この姫神の由縁が「古事記」その他に記されてあります。
朝鮮の新羅にて、赤い玉から化身されたといふアカルヒメノミコトが、夫であつた天之日矛(アメノヒボコ)から逃れて、祖国に帰ると言つて、小舟に乗つてこの姫島の地に辿り着かれました。
そして、この姫嶋といふ地で、女性たちに機織りや裁縫、焼き物や楽器などを教へたさうです。
男とは異なる、女ならではの手の仕事をもつて、たいせつな何かを伝へられたのではないでせうか。
新羅から摂津の姫嶋までの逃避行の、そのときの彼女の情を思ひつつ、この地に新しい文化の営みをもたらされた、その精神の強さ、しなやかさをも思ひ、家族でこころを寄せながら社前に祈りを捧げてゐると、またしても、優しく心地よい風が吹き寄せて来て、雲が吹き払われ、青空に輝く陽の光がさんさんとわたしたちに降り注ぐのでした。