2018年03月17日

ことばと子どもの育ち(5) 〜話すことばと書くことば〜


motoori1.jpg
本居宣長四十四歳自画自賛像

 
これからの国語教育を考へたいのです。
 
それは、手軽で日常的な話しことばの習得や、お決まりの書きことばの練習に子どもたちを向かはせるのではない。
 
さうではなく、自分自身の考へてゐること、感じてゐること、欲してゐることを、明確に、丁寧に、活き活きと、ことばにして話すことのできる力、文章にして書くことのできる力を、養はせてあげることに向かうべきだと思ふのです。
 
昔から我が国の人は、とりわけ、美しいものを美しいと、簡潔に、かつ、委細を尽くして、ことばにする力に秀でてゐました。
 
善きものを善きものと、美しいものを美しいものと、まことなるものをまことなるものと、ことばにする、そんな力を養ふことです。
 
その力は、子どもたちがやがて成長していく中で、社会を生き抜いていく力として、さらに、社会を創つていく力として、だんだんと発揮されていきます。
 
人のことばを発する力によつて、社会は織りなされてゆくのです。
 
国語のその力は、おのづから、聴く人、読む人のこころをはつとさせるやうな、ひいては、日本の精神文化を啓くやうなことばの道へと、文章の道へと、若い人たちを導いていくでせう。
 
文章を書くためのそのやうな力は、口からいずることばに、働きかけます。
 
口からいずることばは、やがて文を綴りゆく力に、きつと、深さをもたらしていきます。
 
口語と文語は、互ひにその深みで作用しあふのです。
 
話しことばは、練られ、研がれ、磨かれた、書きことばに準じておのづからその質を深めていきます。
 
書きことばは、活き活きとした話しことばに影響されて、おのづと生命力を湛えるやうになりゆくでせう。
  
だからこそ、国語教育に、言語造形を注ぎ込んでいくことが、これからの教育になくてはならないものだとわたしは思つてゐます。
 
以下、次回に続きます。



【ことばの家 諏訪 平成三十年度クラスのご案内】
 
●言語造形クラス
https://kotobanoie.net/spra/

●和歌(やまとうた)を学ぶ会
https://kotobanoie.net/yamatouta/

●生誕劇を演じるクラス
https://kotobanoie.net/spra/#pageant

●言語造形で甦る我が国の神話と歴史クラス
https://kotobanoie.net/spra/#kojiki

●日本の言霊を味わうクラス(講師:諏訪千晴)
https://kotobanoie.net/kototama/

●普遍人間学そして言語造形を学ぶクラス
https://kotobanoie.net/tue/

●名張・言語造形を体験する会『ことばを聴く 語る』

講師: 
諏訪耕志 (「ことばの家 諏訪」主宰 )

日時: 
4月16日(月) 10:00〜13:00

場所:
三重県名張市内 (お申込み頂いた方に詳細をお知らせします)

参加費: 
3,000円

お問い合わせ・お申込み: 
ことばの家 諏訪 
 e-mail info@kotobanoie.net
 Tel 06-7505-6405

プログラム:
10:00 お話しを語るワークショップ
(言語造形を体験していただきます)

12:00 お話しに耳を澄ます朗読会 
(言語造形による語りを聴いていただきます)

「風呂に入るお地蔵さん(名張の昔話)」 南ゆうこ
「和泉式部日記」より 森野友香理
「蛇の輪(創作昔話)」 諏訪耕志

12:45 シェアリング

(全員で感想を語りあい聴きあいましょう)

13:00 終了




posted by koji at 09:28 | 大阪 ☀ | Comment(0) | ことばと子どもの育ち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
■ 新着記事
青い森自然農園でのことばづくり「ことばのひ」 (10/10)
ひのみやこ 主催 第1回 日本文化に根ざすシュタイナー教員養成講座 講師陣ご紹介@ (10/09)
日本文化に根差す第1回シュタイナー教員養成講座 in 宮城県蔵王町 ひのみやこ主催 (10/07)
こころのこよみ(第27週) (10/04)
理想をことばに鋳直すお祭り ミカエルのお祭り (09/29)
こころのこよみ(第26週) ミカエルの祭りの調べ (09/28)
大阪帝塚山「ことばの家」さよならパーティー (09/27)
エーテルの世を描いている古事記 (09/24)
頭で考へることをやめ 胸のチャクラからの流れに委ねる (09/23)
命綱としての文学 (09/22)
■ カテゴリ
クリックすると一覧が表示されます。
ことばづくり(言語造形)(237)
アントロポゾフィー(180)
断想(563)
講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告(440)
動画(311)
アントロポゾフィーハウス(92)
声の贈りもの(5)
うたの學び(88)
神の社を訪ねて(37)
こころのこよみ(魂の暦)(471)
読書ノート(71)
絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真(40)
ことばと子どもの育ち(13)
「ことよさしの会」〜言語造形に取り組む仲間たち〜(11)
わたしの来し方、行く末(3)
■ 最近のコメント
待ち望まれてゐることばの靈(ひ)〜「こころのこよみ」オンラインクラスのご案内〜 by 諏訪耕志 (04/03)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 by (04/09)
12/10(土・夜)12/11(日・朝)オンライン講座「星の銀貨」を通して〜人への無理解と憎しみについて〜 by アントロポゾフィーハウス (12/07)
穏やかで安らかなこころを持ち続けること、しかし、目覚めること by 諏訪耕志 (04/23)
教育の根本 by 諏訪耕志 (06/21)
■ 記事検索
 
RDF Site Summary
RSS 2.0