2016年08月16日

詩作と言語造形の夏


IMGP6110.JPG

 

ひびきの村にて先週五日閧ノわたり、
詩人の稲尾教彦さんとともに「詩作と言語造形」講座を開いた。
 
まず初日のオリエンテーションの後、
夜に稲尾さんによる言語造形公演『舟』。

言語造形をもって朗唱される彼の自作の詩を聽いていて、
わたしは何度も、
目に見えないからだをもって舞い踊る感覺を味わった。
彼の息遣いが深まるほどに、
わたしは高く、自由に、舞うことができた。
この世にいながらにして、
あのように精神の飛翔ができる時閧ヘ本當に稀少だ。
そんな稀有の藝術家が北海道の片隅にいる。
 
そして、次の日から、稲尾さんの導きで、
受講生の皆さんと共に林の中に分け入って行き、
樹木や草花との内なる對話と、
己れのこころの内なる考え・理想を胸に暖めることを通して、
こころの静かさと暖かさの上に降りてくる「ことば」を紡いでいく。
それは、こころの内に潜んでいた形のないものに、
確かな形を與えていく作業だった。
 
さらに、今度は、紡がれていく「ことば」を言語造形を通して、
ダイナミックに、繊細に、聲にしていく。
息遣いに導かれるようにして、
こころの奥から生まれてきたことばを、
天から降りてきたかのようなことばを、
からだまるごとをもって空閧ノ響かせていく。
 
詩作と言語造形とを往復する四日間の後、
最終日の発表において、
參加者の皆さんから空闊齡tに響き渡った詩は、
まさに、「ことば」であり、
まさに、その「人」そのものであった。
 
今回の稲尾さんによる詩作の時閧ヘ、
「自分自身のこころの動き」「ゆらぎ」を見るための、
精神の育みの時閧ナもあったように想う。
 
その「ゆらぎ」は、
たやすく見逃され、ふたをされ、隱される、
とてもひそやかなものだけれども、
とてもしつこく根深いものをもつ動きだ。
 
しかし、それを見ることで、
その動きやゆらぎは静まり、
曇らされていた視界の向こうが、
漸く展けてくる。
その向こうに、
實の「ことば」があり、
實の「わたし」があり、
精神の世があり、
神の世がある。
 

IMGP6120.JPG


稲尾さんの最新の詩集『夕立と群青』。
その慎ましい佇まいの一文一文が我が身に響いてくる。
 
  
  にくしみは、こころも、ことばも、駄目にする。
                 (作品「赦す」)
 
 
己がこころの「ゆらぎ」を見ればこそ、
曇らされたこころの視界が展け、
向こうの世からことばが聽こえてくる。
 
かたちの定まらなかったものが、
かたちを與えられていくときの、
その、赦されるよろこび、創造のよろこび。
 
詩作と言語造形は、
そのよろこびに滿ちている。
 
こんな時閧ニ空閧創ってくださった、
すべての方々に、
こころから感謝します。


posted by koji at 15:15 | 大阪 ☀ | Comment(0) | 講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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