2016年03月10日
ことばと子どもの育ち(3)〜素朴な教育の理想〜
「人前でしっかりと口が利けるようになったら、一人前だ」
昔の日本人は、
子どもへの教育の理想をそんな風に言い表していたそうです。
多くを子どもに求めず、
そのかわりに、ことばの力をこそ、
生きていく上での基の力としてしっかりと身につけさせてやる。
それは素朴だけれども、
どこまでも大切な理想です。
「人前でしっかりと口が利ける」
それは、きっと、自分自身が、
考えていること、
感じていること、
欲していることを、
言いすぎることなく、
言い足りず、もどかしい思いをすることもなく、
的確にことばにすることができるということでしょう。
そのとき、そのときで、
余計なことは言わず、
考えていることとずれたことを言わず、
自分が考えていることをピタリと、過不足なく、
ものごとに即してことばを話すことができるように、
若い者を教育しようと、
昔の人たちは考えていたそうです。
そして、その力は、きっと、他人のことばから、
考えていること、
感じていること、
欲していることを、
聴き取る力、読み取る力、思いやる力になりゆくでしょう。
この、ことばの力、国語の力が、
現代生活においてどれほど強く必要とされているでしょうか。
わたし自身にとって、この力は、
とてつもなく大事な力だと感じています。
そして、
わたしの周りの人たちにとってもそうではないかと思われるのです。
昔の日本人は、今のように義務教育もない時代、
どのような国語教育を考え、子どもたちに施していたのでしょう。
この記事へのコメント
コメントを書く