
四季の巡りとともに祝祭を催すこと。
アントロポゾフィーの学びの集まりや共同体、
そしてシュタイナー学校、幼稚園などにおいて、
大切にされていることです。
一年の巡り、太陽と月の運行が、
人のこころの意識の下に働きかけていて、
その働きかけを感じ、意識化することは、
現代人にとってはなかなか難しい。
しかし、
人は一年の巡り、四季の巡り、時の法則を、
あらためて内なるこころから、
いきいきと、みずみずしく生きることで、
みずからのこころを健やかに育んでいく道を、
歩んでいくことができる。
昔の人は、そのことを本能的に知っていて、
祝祭を四季の巡りに応じて営んでいたそうです。
そもそも祝祭とは、
神を皆でここにお迎えし、
神と共に喜び、
神を再びここからお送り申し上げる、
そんな営みです。
我が国の祝祭は、米作りを基になされていました。
その年の米の豊かな収穫を稲神、年神に祈る、
春の祈年祭(としごひのまつり)。
そして、その年の収穫に対する、
この上ない感謝のことば(祝詞)を唱え、
その神々に供え物をし、
神々と共にその収穫物の米を食し、餅を食し、酒を飲む、
秋から冬にかけての新嘗祭(にひなへのまつり、にひなめのまつり)。
そのふたつが、とりわけ大事な祭として営まれていました。
それは天皇御みずからが宮中において、
いまもなし続けられていることですし、
昔の我が国の村々では、
その風儀を慕って、
皆がおのずからその祭を、
大事に、厳粛に、かつ爆発するような喜びと共に営んでいました。
大多数の日本人が、
教義や聖典に則ることなく、
そのような祭を、
毎年毎年、永遠の循環のように、
暮らしの生産活動、米作りに基づきながら営み、
信仰心を、
ことばにすることなく、
感覚と行為で深めつづけていたとは、
驚きではないでしょうか。
そして、
和歌山にもシュタイナー学校を創っていこうとしている動きのなかで、
とりたてて、宗教などと言うことなく、
暮らしのなかの不可欠なこととして、
地域の神社やお寺の活動と繋がり得るような、
当たり前の営みをわたしたち大人が意識的に創っていく。
子どもたちへの授業をどう創っていくか、
祝祭をどう創っていき、営んでいくかということの、
土台、前提として、
その学校を営もうとする大人たち自身の暮らしそのもののなかで、
人が生きていくために必要なものとして、
地域の祭に加わり、または、
祝祭を改めて意識的に創り、営んでいくことはできるだろうか。
まず、大人が四季の祝祭を生きる生活を始めていくことができるだろうか。
農から始まる手仕事の広がりと深まり。
春から秋への米作りがおのずからいざなう暮らしのなかの信仰心。
そこから、子どもたちへの教育が様々に展開していく可能性が、
農地に囲まれた和歌山でのシュタイナー学校において、
だんだんと見いだせるのではないか。
地域から孤立することなく、
地域の方々と一緒に、
地域の方々に応援してもらいながら、
(地域の方々を巻き込みながら!)
日本の、和歌山の、シュタイナー学校を少しずつ創っていこう。
そんな想いを分かち合った先日の講演でした。
以下、
和歌山シュタイナー学校設立準備会(旧未来の学校をつくる会)
の方が、
その講演の内容を的確に掬いだして文章にしてくれています。
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【 講座「日本の祝祭とシュタイナー教育」を終えて 】
日本人である私たちを、
今一度見つめ直す機会をいただいた今回の講座。
この日本の気候や風土の中で、
昔から自然に生活に染みついてきた祝祭の意味を、
諏訪先生とともに語り合いました。
シュタイナー学校をつくっていく中で「祝祭」をどう捉えるか。
また、この和歌山の地でシュタイナー学校をつくる意味とは何なのか。
ずっと私たちの中にあった問いに、
少し光が見えてきたような気がしました。
日本人の大多数が「農」に勤しんでいた時代から、
私たちの信仰心は育まれてきました。
「農業」は感謝の気持ちを育てる仕事だということ。
その中で「米作り」が日本人の生命の連関を支えていた事実。
米作りから生じる日本の祝祭を、子どもたちと共に行っていけたら。
日本のシュタイナー学校が作り上げてきた教育実践を大切にしながらも、
日本人として私たちの心が、血や肉が、
「そうそう、これなんだ」と感じるものを私たちは探っていきたい。
大切なものは、私たちの中にあるということ。
ここから、私たちからはじまるシュタイナー教育、
シュタイナー学校をつくっていきたい。
和歌山にシュタイナー学校ができることが、
この地域の中でぽっとあたたかな光が灯るような、
大人も子どもも共に育ちゆく場になるように、
私たちは今できることから、
手足を動かしていきたいと思います。


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