百年長屋さんでの狂言の会に家族そろって参加させてもらいました。
御年八十歳になられるという大和座の安東伸元さんのお声の力強さと艶には、本当にからだまるごとで驚きました。
最前列に座っていたせいか、娘二人も妻も舞台に乗せていただき、『柿山伏』という作品に沿って安東元(あんどう げん)さんの指導の下、演習をさせてもらいました。
全身を振り絞って声を出す気持ちよさを改めて感じたようで、終わった後、「本当に楽しかった、気持ちよかった!」と飛び跳ねながら言う娘たち。
狂言や能にとりわけ顕著に顕れている、西洋の近代写実主義的なあり方とは全く方向を異にしている、我が国の舞台芸術のあり方。
ことばの力だけで、人の想い描く力と響き合うことを目指す舞台創り。
そういった我が国の文化ならではのこころざしを明確に育みつづけている彼ら狂言師の方々との出会いは、わたし自身にとっても、言語造形との重なりをおおいに感じることのできた得難いものでした。
この四月から毎月、家族そろって、狂言の世界に触れられる、こんな機会を用意して下さった百年長屋さんに、こころから感謝します。
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