三月三日の桃の節句。
と言っても桃の花はまだ咲いていません。
本来の桃の節句は、旧暦における三月三日ですから、
新暦では、今年は四月二十一日になります。
本来は、花の桃色の美しさを讃えて祭りを行っていたのでしょうが、
そもそも桃は古来、邪気を払い百鬼を制するという魔除けの信仰がありました。
伊邪那岐神(イザナギノカミ)が黄泉の国で醜い姿となった伊邪那美神(イザナミノカミ)に驚き、黄泉平坂(ヨモツヒラサカ)まで逃げてきたとき、なおも追ってきた黄泉醜女(ヨモツシコメ)にそこの桃の実を三つ取って投げると、逃げて帰ったといいます。
桃の節句における行事として「穢れを祓う」ということの我が国ならではの古来からの宗教的意味合い。
それと合わせて、キリスト教の伝統における復活祭の意味合いとが想い起こされます。
それは、真東から昇りゆく太陽(春分)と甦る月(満月)とを柱として、人のこころと精神における甦り(死して成ること)を祈念する祭りです。(In Christo morimur)
その復活祭の日は、今年は四月五日です。
復活祭のドイツ語 Ostern は、ゲルマンの春の女神から来ていると推測されているそうです。
桃の節句におけるひな祭り。
そして、復活祭における春の女神を讃えること。
我が家「ことばの家」では、復活祭あたりまでお雛様を飾ってお祀りを続けようと思っています。
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