2014年01月25日

ルドルフ・シュタイナーの『神秘劇』日本語上演に向けて

Groupeenbois.jpg


今日、東京の新宿での、日本語での『神秘劇』(ルドルフ・シュタイナー作)上演に向けての会に伺い、言語造形に皆で取り組む。

オイリュトミストであり、翻訳・通訳業もされている香川裕子さんが中心になって2010年からなされている勉強会で、今日は20人ほどの方が集まられていた。
http://jade-initiative.net/bodywork.html

生硬な、とも思われる30年以上前に訳された日本語の文章ではあるが、それでも言語造形を通してからだまるごとでことばを発声していくと、そこにそれぞれの人物の表情や感情や性向などが如実に立ち上がってきて、とてもおもしろく魅力的だ。

参加された皆さんが、とても熱心で、そのお蔭で活気のある、ユーモアに満ちた暖かい時間と空間になる。


しかし、今回こうしてわたしも『神秘劇』に取り組む機会をいただいて、この作品は「おもしろい」だけでは済まない、相当の深みがあることに漸く気づかせてもらえた。

人というものが、なぜ、これほどまでに悲しい存在であるのか、しかし、そこに必ず、精神の光が、時間の有限性を越えてひとりひとりに差し込んでいる。

このドラマは、1910〜1913年に渡って初演されたのだが、そこにはその数年後に実際にアントロポゾフィー協会に起こった様々な悲劇がまざまざと予言されている。

まことを求める人が舐めざるを得ない痛切な「さだめ」、そしてそこからこそ人は痛切に何かを学べるのだということ、そのことをこの劇は芸術的に掘り下げている。

今日参加して下さった、子安美智子さんが仰っておられたが、この劇を演じることと、この先を生きていくのに不安を煽られるような、いまの日本に生きてゆくこととを重ね合わせること。

その重なりは、個人個人の、この「さだめ・運命」との真っ向からの向き合い以外に場を持たないだろうと思う。


今年の7月25日(金)、26日(土)、ドイツからミヒャエル・デーブス氏をお迎えして東京で日本語上演を含む神秘劇会議が開催される。

この会議をまたひとつの大きなスプリングボードにして、これから、年月をかけながら、日本語での上演を通して肉体を動かし、汗を流しながら、学びを深めていくことになる。
その「さだめ」との向き合いそのものを深めていくことになる。


posted by koji at 23:12 | 大阪 ☁ | Comment(2) | 断想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。昨年の「神秘劇」第一劇第1景でご一緒した樋口(ヘレナ役)です。劇の後の話し合いを受けて今年の上演のためにホームページを作りました。リンクを張っていただきたいと思うのですが、お願いできませんでしょうか?
Posted by 樋口祐貴 at 2015年04月08日 15:26
樋口さん、ご無沙汰しています。

2015年の神秘劇上演(日時:2015年7月24日、25日 於:横浜市吉野町市民プラザ)のための情報源、ここに貼らせてもらいますね。

http://shinpigeki.jimdo.com/
Posted by 諏訪耕志 at 2015年04月16日 15:52
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
■ 新着記事
滋賀シュタイナー ちいさいおうち園での語らい (04/27)
アントロポゾフィー 人であることの意識 (04/24)
三羽の揚羽蝶 (04/24)
ひとりひとりの歩幅 (04/23)
京都市伏見区醍醐勝口町でのことばの家 ことばづくり(言語造形)クラスのご案内 (04/23)
ことばが甦るとき 〜甦りの祭り(復活祭)の日にちなんで〜 (04/20)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 (04/20)
鏡像 (04/18)
4/20(日)復活祭からの「こころのこよみ」オンラインクラス (04/14)
学んだことは忘れていい (04/13)
■ カテゴリ
クリックすると一覧が表示されます。
ことばづくり(言語造形)(244)
アントロポゾフィー(182)
断想(575)
講座・公演・祝祭の情報ならびにご報告(460)
こころのこよみ(魂の暦)(497)
動画(333)
農のいとなみ(1)
うたの學び(88)
神の社を訪ねて(37)
アントロポゾフィーハウス(92)
声の贈りもの(5)
読書ノート(71)
絵・彫刻・美術・映画・音楽・演劇・写真(41)
ことばと子どもの育ち(13)
「ことよさしの会」〜言語造形に取り組む仲間たち〜(11)
■ 最近のコメント
5/7(水)からのシュタイナー著「いかにして人が高い世を知るにいたるか」毎週水曜日夜オンラインクラスへのご案内 by 諏訪耕志 (04/11)
待ち望まれてゐることばの靈(ひ)〜「こころのこよみ」オンラインクラスのご案内〜 by 諏訪耕志 (04/03)
こころのこよみ(第1週) 〜甦りの祭り(復活祭)の調べ〜 by (04/09)
12/10(土・夜)12/11(日・朝)オンライン講座「星の銀貨」を通して〜人への無理解と憎しみについて〜 by アントロポゾフィーハウス (12/07)
穏やかで安らかなこころを持ち続けること、しかし、目覚めること by 諏訪耕志 (04/23)
■ 記事検索
 
RDF Site Summary
RSS 2.0