
昨日買った、保田與重郎の『ふるさとなる大和 日本の歴史物語』。
ロマノ・ヴルピッタ氏による序文も素晴らしく、ここに引用します。
保田の理解では、
日本文化と民族国家としての日本の本質と精神的基盤は「しきしまの道」、
つまり国語や文学、とりわけ和歌である。
この観点から見ると、「百人一首」は日本における聖書のようなものであり、
「百人一首」の伝播は日本文化と民族意識の伝播そのものである。
・・・一人の日本人でも日本の生活様式を守れば、日本文化は滅びないと確信した彼 (保田)・・・。
わたしが「ことばの家」の仕事を通してやっていきたいと念じているのも、
ことばの芸術を通して、
「道」の奥へと歩いていくことです。
ここでは「しきしまの道」というように言われています。
ひとりの人である<わたし>が己の精神的基盤に立つこと、
それを促すために、
ことばの芸術の奥へとだんだんと入って行くこと。
そのために、日本語の芸術作品を味わっていきたい。
もっと取り組んでいきたい。
もっと使っていきたい。
『古事記』『萬葉集』、和歌、物語、俳諧、近代文学、現代文学・・・。
まずは、自分の関心の向くところから。
しかし、これら日本語の芸術に、特に古典作品に、
自分たち多くの現代人は、馴染みがなく、親しみを持てず、
むしろ外国からの翻訳文学よりも縁遠く感じているのではないか。
だから、改めて、まず自分たち大人が、
国語による古典文学に親しみ、少しずつ通じていく。
面白み、喜び、深みを見いだしていく。
今年は、このことをわが身に徹底させようと思っています。
今日、幼稚園がまだ冬休みなので、
5歳の次女と一緒に、
倭建命(やまとたけるのみこと)の故郷をしのぶ歌を朗々と声に出してみました。
倭(やまと)は 国のまほろば
たたなづく 青垣山(あをかきやま)
隠(ごも)れる 倭(やまと)し 美(うるは)し
なんと、想い、念い、憶いの深く織りなされている歌だろう。
この深さ、強さは、何度も声にしてみなければ、到底感じ得ないものに思われます。
娘も大声で暗唱できるようになりました。
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